菊地雅章 / One-Way Traveller

LPのライナーノーツを担当した油井正一氏が、プロデューサー伊藤潔氏のコメントを載せている。「1980年11月12日から2週間掛かって、ニューヨークのサウンド・アイディア・スタジオでおこなわれたスタジオライブによる録音である。この2週間のために、菊池雅章は約2年間、構想を練り、リハーサルをおこない、メンバーを選定してきた。この間メンバーはリズム・パターンを研究し、練習し、スタジオに入る前に熟知していた」。

こういう情報を仕入れてしまうと、このアルバムの仕上がりを妙に納得してしまう。出来過ぎなのだ。ジャズという音楽が本来持っているインプロビゼーションは、ここにはない。たしかに、揺さぶってくれるものの、狂わしてはくれない。それは、たぶんリズムが予定調和的だからなのだろう。菊池はリズムセクションに任せてしまってコントロールしていない気がする。なお、このアルバムは前作『ススト』と一緒に録音され、リリース時期を分けた形になっている。

1. Alacalder
2. Sum Dum Fun
3. Madjap Express
4. Sky Talk

Masabumi Kikuchi / 菊地雅章 - keyboards
Terumasa Hino / 日野皓正 - cornet
Steve Grossman - saxophones
Sam Morisson - wind driver
James Mason, Marlon Graves, Butch Campbell, Ronald Drayton, Billy Patterson, Gass Farkon - guitar
Hassan Jenkins - bass
Richie Morales, Victor "Yahya" Jones - drums
Alyrio Lima, Aiyb Dieng, Airto Moreira - percussion

Recorded in November 1980 at Sound Ideas Stduios, NYC.
Recorded and Mixed in December 1980 and January 1981 at CBS/SONY Roppongi Studios, Tokyo.

菊地雅章 / East Wind

イースト・ウィンドという日本のレーベルは、1970年代後半へ向けてのジャズを象徴するかのように設立された。まさしく、日本からのジャズの発信であり、富樫雅彦、菊地雅章、日野皓正といった世界に通用するミュージシャンを揃えた。このアルバムは、その第1弾。

ライナーノーツによると、本作のメンバーで、1974年6月6日から7月10日まで全国ツアーを24回やり、その合間である6月23日にスタジオ録音したが、菊地は音質に満足せず、7月3日に録り直したとある。新しいレーベルだけに、音に拘ろうとしたのは分かるのだが、第1弾はライブアルバムで花火を打ち上げて欲しかった。

1. East Wind
2. Green Dance

峰厚介 - tenor saxophone
日野晧正 - trumpet
菊地雅章 - piano
Juini Booth - bass
Eric Gravatt - drums

Recorded on July 3, 1974 at Victor Studio, Tokyo.

喜納昌吉 / Blood Line

レコード屋で最後に買ったアルバム。もう15年近く前のことだと思う。週末、町田駅近くで会社の同僚と待ち合わせをしていた。その前にディスクユニオンで時間をつぶしていた時、中古で見つけたアルバム。『日本ROCKの逆襲』というシリーズが気になり、そして「すべての人の心に花を」が収録されていたため、たしか800円ほどで買った記憶がある。

これを最後に、2008年からはAmazonでのCD購入に切り替えた。浪人時代からディスクユニオンを利用していたので、30年以上の付き合いに終止符を打ったことになる。だが、ユニオンからは良質なジャズの中古CDがAmazonに出品されるので、ネット経由での付き合いは続いている。

1. じんじん
2. アキサミヨー
3. 花のカジマヤ
4. ニライ カナイ
5. イヤーホイ!
6. すべての人の心に花を
7. ミミチリ坊主 - ダンジュ カリユシ
8. クレージー カチャーシー
9. ヤンバル

発売 1980年