Kenny Drew / Solo-Duo

3つのセッションからそれぞれ4曲ずつで構成されているアルバム。1966年(ニールス・ペデルセンとのデュオ)、78年12月(ソロ)、83年9月(ボ・ステーフとのデュオ・ライブ)。いずれもコペンハーゲンでの録音。ドリューの死後3年が過ぎた96年5月にリリースされた。ケニー・ドリューのソロ、全くスタイルの異なる二人のベーシストとのデュオが楽しめる。それぞれのセッションの録音当時は、曲数が足りなくLPに仕立てられなかったのだろう。全12曲見事な演奏である。録音も良し。

問題は、タイトルとジャケット。Solo-Duoはその通りなのだが、3つのセッションを表現できていない。ジャケットの写真は、ペデルセンとのツーショットであるが、無機質な感じの部屋での練習風景。コペンハーゲンを終の棲家としたドリューなので、その街角で佇む写真、タイトルはDrew 66, 78, 83 in Copenhagenのようにすれば、18年間のドリューの足跡を示せたと思うのだが。

1. Everything I Love
2. Ode To Mariann
3. Willow Weep For Me
4. Swingin' Till The Girls Come Home
5. Yesterdays
6. Blues For Nils
7. A Simple Need
8. Whisper Not
9. Blues For Nils
10. There's No Greater Love
11. Ack Värmeland Du Sköna
12. Bluesology

Tracks 1 - 4
Kenny Drew - piano
Niels-Henning Ørsted Pedersen - double bass
Recorded in 1966 in Copenhagen, Denmark.

Tracks 5 - 8
Kenny Drew - piano
Recorded on December 15, 1978 in Copenhagen, Denmark.

Tracks 9 - 12
Kenny Drew - piano
Bo Stief - double-bass
Recorded on September 29, 1983 at Grock, Copenhagen, Denmark.

Kenny Drew / Kenny Drew Trio

CD帯から。「若きケニー・ドリューの代表作として知られる1枚。スタンダードを中心に、デューク・エリントン、セロニアス・モンク、そして自作曲を交えて、マイルス・デイビス・クインテットで活躍するリズムセクションと組んで溌剌としたトリオ・ミュージックを創造する。若々しいプレイと共にドリューの名人芸も楽しめる」。ここでの自作曲とは7曲目のBlues For Nicaのこと。そして、本作が録音された時期、マイルスはアルバムCookin'などのセッションを行なっている。そのリズム陣と組んだ訳であるが、ドリュー自身のマイルスとの共演は、1951年にわずかなセッションが残っているだけ。つまり、マイルスからは認められなかったドリューのピアノスタイルと言えるのだ。

だが、スイングジャーナル誌は本作を認め、ゴールド・ディスクに選定。演奏内容はゴールドで輝いているが、少年2人を写したジャケットがあまりにも暗すぎる。英語原文のライナーノーツには、白黒写真の創設者Roy De Carava(ロイ・デ・カラヴァ)による写真で、このアルバムとの関連性はないと書いている。では、なぜにカラヴァの写真を採用したのか。本作は超スタンダード曲Caravanで幕を開ける。つまり、CaravanからCaravaの連想と見抜いたのだが…。真相はいかに。

1. Caravan
2. Come Rain Or Come Shine
3. Ruby, My Dear
4. Weird-O
5. Taking A Chance On Love
6. When You Wish Upon A Star
7. Blues For Nica
8. It's Only A Paper Moon

Kenny Drew - piano
Paul Chambers - bass
Philly Joe Jones - drums

Recorded on September 20 & 26, 1956 in NYC.

Kenny Drew / Afternoon In Europe

ジャズ・プロデューサー木全信(きまた・まこと)の著書『ジャズは気楽な旋律(平凡社新書)』にこう書いてある。1980年の春、木全氏がケニー・ドリューへ「ぼくにあなたのアルバムをプロデュースさせてくれませんか?」と切り出したそうだ。ドリューからは自分のレーベルでのリリースという条件で了解が得られ、「ぼくにはぼくの目指すレーベル・イメージがあります。それば〈ジャズは気楽な旋律〉というコンセプトです。流れていてじゃまにも、耳ざわりにもならず、聴く意思を持って聴けば十分に聴きごたえのあるジャズ。そんな音楽を世に出していくレーベルをつくりたいと考えています。この気持ちだけはわかってほしいのですが…」と伝えた。

それに対するドリューの返事。「自分も同じ考えだ。ジャズは楽しくもあり、悲しくもあり、ダイナミックでもあり、ロマンチックでもある。ある時は美しく、ある時は怒りをも感じさせる。そんないろいろな表情を醸し出せるのがジャズの面白いところだ。そうした表情をいかにイージーに表現できるか、いかに聴く人の心を響かせることができるか…自分はいつもそんな考えでピアノに向かっている」。この会話から生まれたのが本作である。しかし、アルバムにはProduced by Ivan Sundberg & Kenny Drewとしか書かれていない。どこまで木全氏が関与したのかは不明。ところで、LPではドリューの横顔を写したジャケットだったのだが、CDではイラストに変わってしまった。

1. Golden Strinker
2. Midnight Sun
3. Jeg Gik Mig Ud En Sommerday, At Hore
4. Tivoli Stroll
5. Ach Värneland Du Sköna
6. Afternoon In Paris
7. The Quiet Cathedral

Kenny Drew - piano
Niels-Henning Ørsted Pedersen - bass
Ed Thigpen - drums

Recorded on November 29, 1980 in Copenhagen, Denmark.