Johnny Griffin / The Kerry Dancers

全8曲中の6曲がトラディショナル。その中のThe Kerry Dancersをタイトルにした。サブタイトルにはand Other Swinging Folkとある。しかし、本作の聴かせ所は、間違いなくHush-A-Byeなのだ。もし、この曲をタイトルにして、それに見合ったジャケットにしていれば、もっと評価されるアルバムになっただろう。雑木林で白い椅子に足を乗せたジョニー・グリフィン。意味不明。

そして、Hush-A-Byeは、後にグリフィンの十八番となった。自分が所有するグリフィンのアルバムではThe Man I Love(1967年3月録音)とCatharsis!(89年7月録音)に収録されている。どちらもライブなので、スタジオ録音の本作に比べると荒削りなのはやむを得ない。従って、Hush-A-Byeを聴くなら本作ということになるのだが、日本人ドラマーの第一人者である森山威男がこの曲を愛した。2枚のアルバムHUSH-A-BYE(78年2月録音)とLive At Lovely(90年12月録音)に収録。この2枚のそれぞれのフロント(小田切一巳、井上淑彦)は、グリフィンに負けず強力である。

1. The Kerry Dancers
2. Black Is The Color Of My True Love's Hair
3. Green Grow The Rushes
4. The Londonderry Air
5. 25 1/2 Daze
6. Oh, Now I See
7. Hush-A-Bye
8. Ballad For Monsieur

Johnny Griffin - tenor saxophone
Barry Harris - piano
Ron Carter - bass
Ben Riley - drums

Recorded on December 21, 1961 (tracks 2, 6 & 7) and January 5 (tracks 3, 5 & 8) & 29 (tracks 1 & 4), 1962 at Plaza Sound Studios, NYC.

Johnny Griffin / Studio Jazz Party

CD帯から。「スタジオをパーティ会場に仕立てて録音した、ユニークなセッション盤。和気あいあいとした雰囲気の中、グリフィンが脂の乗り切った骨太なプレイを披露する」。英文ライナーノーツを読むと、「友人や仲間のミュージシャンなどに招待状を送り、飲み物や食べ物を用意した。グリフィンの友人であるバブス・ゴンザレスが進行役」とある。ジャケットの写真を見ると、招待されたのは20人前後だろうか。プロデューサーはオリン・キープニュース。

グリフィンのディスコグラフィーによると、リーダーアルバムでは最初のライブ演奏。キープニュースは、グリフィンのライブアルバムを作りたかったのだろう。だが、適当なクラブが見つからずスタジオライブを思い付いた。そんな気がする。観客同士は知り合いも多かったはずで、和気あいあいの雰囲気は分かるが、スタジオ録音なので無駄な反響音がなく、その事が災いして「熱さ」があまり伝わってこない。

1. Party Time
2. Good Bait
3. There Will Never Be Another You
4. Toe-Tappin'
5. You've Changed
6. Low Gravy

Johnny Griffin - tenor saxophone
Dave Burns - trumpet
Norman Simmons - piano
Victor Sproles - bass
Ben Riley - drums
Babs Gonzales - announcer

Recorded on September 27, 1960 in NYC.

Johnny Griffin / The Little Giant

ジョニー・グリフィンのニックネームがLittle Giantであることは、昔から知っていた。だけども、グリフィンの身長を書いた記事に出会ったことはなく、改めてスイングジャーナル『世界ジャズ人名辞典』を見ても、そしてWikipediaで調べても、その表記はなかった。しかし、このアルバムの裏面にある英文ライナーノーツでようやく探し出すことができ、Johnny Griffin doesn't reach to more than five and a half feet.とあったのだ。5.5 x 30.48 = 167.64cmには届かないということ。日本人なら決して小柄ではないのだ。

CD帯には「ケリー・トリオをバックにミッチェル、プリースターと共に、熱気漲る圧倒的なブローイングで迫るグリフィンの代表傑作」とある。その通りだが、単なるジャムセッションではない。フロント3管の息の合ったアンサンブルが聴き所のアルバム。ジャケット裏には、その3人が並んだスタジオでの演奏中の小さな写真も掲載されている。真ん中にいるグリフィンは確かに小柄だが、左右にミッチェルとプリースターを従え、貫禄十分のまさしくGiantなのである。

1. Olive Refractions
2. Message
3. Lonely One
4. 63rd Street Theme
5. Playmates
6. Venus And The Moon

Johnny Griffin - tenor saxophone
Blue Mitchell - trumpet (except track 3)
Julian Priester - trombone (except track 3)
Wynton Kelly - piano (except track 3)
Sam Jones - bass
Albert Heath - drums

Recorded on August 4 & 5, 1959 at Reeves Sound Studio, NYC.