John Coltrane / Traneing In

1958年初頭に発売されたときのタイトルはJohn Coltrane with the Red Garland Trioだった。そして、61年の再発時にはジャケットを差し替え、タイトルがTraneing Inに変わった。プレスティッジは、なぜに一新したのだろうか。確かに、後者のほうが力強い感じのタイトルだ。61年の時点では、アトランティックからアルバムGiant Stepsがすでにリリースされていた。プレスティッジは、その勢いに乗ろうとしたと思える。

いかにもトレーニング中というコルトレーンの写真。名盤Blue Trainの3週間前の録音。Blue Trainの写真と見比べれば、違いがよく分かる。Traneing Inは「あと一歩で自分が表現したいジャズへ到達できる」という感じ。Blue Trainでは「これでいいんだ」と自分に言い聞かせている。LPのライナーノーツ(77年3月3日付け)で久保田高司氏が、プレスティッジに残した全リーダーアルバムの中で上位に入ると絶賛している。同感。

1. Traneing In
2. Slow Dance
3. Bass Blues
4. You Leave Me Breathless
5. Soft Lights And Sweet Music

John Coltrane - tenor saxophone
Red Garland - piano
Paul Chambers - bass
Art Taylor - drums

Recorded on August 23, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

John Coltrane / COLTRANE

コルトレーンの実質的な初リーダーアルバム。フロント一管のViolets For Your Fursが代表曲。気になるのは、たった1日だけのセッションなのに、ピアノがレッド・ガーランドからマル・ウォルドロンに交代していること。コルトレーンのディスコグラフィーには、プレスティッジの管理番号らしきものが記載されている。4曲目のStraight Streetが一番若い番号で1292。最後の番号1297が3曲目のTime Wasである。

つまり、LPで言えばウォルドロンが参加したB面を先に録音して、ガーランド参加によるA面を次に録音したのだろう。さらに、1298はアルバムLush Lifeに収録されたガーランド参加のI Hear A Rhapsodyである。憶測でしかないが、本来ならば、ガーランドがこの日のセッションを務める予定だった。だが、何らかの理由で途中から参加せざるを得なくなり、ウォルドロンに声が掛かった。ウォルドロンのピアノは、自分らしさを出しているのだが、急な呼び出しでやる気が見えてこない。ちょっと、深読みし過ぎだろうか。

1. Bakai
2. Violets For Your Furs
3. Time Was
4. Straight Street
5. While My Lady Sleeps
6. Chronic Blues

John Coltrane - tenor saxophone
Sahib Shihab - baritone saxophone (tracks 1,4,6)
Johnnie Splawn - trumpet (tracks 1,4-6)
Red Garland - piano (tracks 1-3)
Mal Waldron - piano (tracks 4-6)
Paul Chambers - bass
Albert "Tootie" Heath - drums

Recorded on May 31, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

John Coltrane / Cattin'

日本だけのことかも知れないが、ジョン・コルトレーンを「トレーン」と略して語るようになったのは、アルバムBlue Trainがきっかけだったのか、それとも衝撃的なアルバムGiant Stepsだったのか。いずれにしても、これは「トレーン」がまだ「コルトレーン」だった頃のアルバムである。

ポール・クイニシェットとの共演。フロントでテナー2管が揃えば、互いに意識してブローすることを期待し予想するのだが、二人は互いを立てながら控え目なテナーに徹している。ジャズが沸点に達しようとしていた1957年。密かなエネルギーを溜め込んだセッションを捉えたアルバムであるのだが、あまりにもいい加減なジャケット。当時のプレスティッジ・レーベルのやる気のなさが伝わってくる。CD化でTea For Twoが追加されたが、プレスティッジらしく録音データは不明。少なくとも、トレーンのディスコグラフィーに、この曲を見つけることはできなかった。ちなみに、このアルバムと同日、マル・ウォルドロンのアルバムMal-2がフロント陣をコルトレーン、アイドリース・シュリーマン、サヒブ・シハブに替えて録音されている。

1. Cattin'
2. Sunday
3. Exactly Like You
4. Anatomy
5. Vodka
6. Tea For Two

John Coltrane - tenor saxophone
Paul Quinichette - tenor saxophone
Mal Waldron - piano
Julian Euell - bass
Ed Thigpen - drums

Recorded on May 17, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.