John Coltrane / The Last Trane

3つのセッションからの寄せ集めながら演奏自体は悪くない。だが、収録が4曲だけというのはあまりにも寂しい。これらのセッションでの音源は、アルバムLush LifeとSettin' The Paceに分散されているので、戦略的?にバラ売りしたのだろう。本作のリリースは1966年1月。タイトルをLastにしたのは、プレスティッジに残された未発表の音源は、これが最後という意味だろうか。

バラ売りは許しても、誤解を受けるようなタイトルは許し難い。さらに、ジャケット写真はソプラノを吹くコルトレーンだが、ここではソプラノを吹いていない。コルトレーンのディスコグラフィーを見ると、ソプラノによる最初の吹込みはアトランティック・レーベルでの1959年1月15日の録音。つまり、プレスティッジ時代には、まだソプラノを吹いていないのである。

1. Lover
2. Slowtrane
3. By The Numbers
4. Come Rain Or Come Shine

Tracks 1 & 4
John Coltrane - tenor saxophone
Donald Byrd - trumpet
Red Garland - piano
Paul Chambers - bass
Louis Hayes - drums
Recorded on January 10, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Track 2
John Coltrane - tenor saxophone
Earl May - bass
Art Taylor - drums
Recorded on August 16, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Track 3
John Coltrane - tenor saxophone
Red Garland - piano
Paul Chambers - bass
Art Taylor - drums
Recorded on March 26, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

John Coltrane / Settin' The Pace

コルトレーンは変貌を続け新たな極致を築いたからこそ、この時代のトレーンのアルバムが評価されていると言い切りたい。そうでないとすれば、残念ながら退屈なアルバムである。1曲1曲は味わい深いが、全体としては平坦で抑揚がない。コルトレーンを含めた4人は何も冒険していない。

Settin' The Paceはどう訳せばよいのだろうか。イディオムでは「先導していく」、「歩調を定める」らしいのだが、どうもしっくりしない。「プレスティッジからは、どんどん録音するからと言われるけど、自分らしいペースでやりたいんだ」とトレーンは言ったらしい。全くの想像。

1. I See Your Face Before Me
2. If There Is Someone Lovelier Than You
3. Little Melonae
4. Rise 'N' Shine
5. By The Numbers

John Coltrane - tenor saxophone
Red Garland - piano
Paul Chambers - bass
Art Taylor - drums

Recorded on March 26, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

John Coltrane / SOULTRANE

これからジャズを聴こうとしている人に、このアルバムを勧めたい。50年代後半の傑作である。曲のバランスと配置が良く、ジャケットもシンプルでかっこいい。欲を言えば、アルバムを象徴するような曲を入れて欲しかった。タイトルと絡めてBody And Soulが良かったかも知れない。

コルトレーン、レッド・ガーランド、ポール・チェンバースの3人は、本アルバム録音の3日前の2月4日、マイルスのアルバムMilestonesのセッションに参加。Milestonesはフロント3管。マイルス、コルトレーン、キャノンボール・アダレイ。憶測でしかないが、マイルス親分のピリピリとした感覚から解放され、本アルバムのセッションに臨んだのではないだろうか。2つのアルバムを聴き比べると、ガーランドのピアノやチェンバースのベースが生き生きとしている。

1. Good Bait
2. I Want To Talk About You
3. You Say You Care
4. Theme For Ernie
5. Russian Lullaby

John Coltrane - tenor saxophone
Red Garland - piano
Paul Chambers - bass
Art Taylor - drums

Recorded on February 7, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.