John Coltrane / Coltrane Time

一期一会。コルトレーンとセシル・テイラーの共演による録音は、このアルバムのみ。当初は、テイラー名義のアルバムHard Driving Jazzというタイトルで発売された。それが、タイトルを変えてコルトレーン名義になってしまった。そもそも、この二人を合わせたのは誰の仕業だったのか。

コルトレーンとテイラーという名前を聞けば、コテコテのフリージャズを思い浮かべる。しかし、1958年時点では、それぞれの個性は出ているものの、まだまだ不自由な演奏。つまり、自分を解放できる状態までは至っていない。だが、歴史的に見れば価値は非常に高い。なぜに続きの録音はなかったのか。答えは簡単。それぞれ自己を追い求めたから。ジャケットに写るコルトレーンの表情。「テイラーって男は凄い。アイツとセッションを繰り返してみたいけど、吸い取られる感じだな」。当時、コルトレーンは32歳。テイラーは25歳。二人の間に火花が散ったと想像したい。

1. Shifting Down
2. Just Friends
3. Like Someone In Love
4. Double Clutching

John Coltrane - tenor saxophone
Kenny Dorham - trumpet
Cecil Taylor - piano
Chuck Israels - bass
Louis Hayes - drums

Recorded on October 13, 1958 in NYC.

John Coltrane / Standard Coltrane

スタンダード・コルトレーン。考えてみると、安易なタイトルである。トレーンが演奏するスタンダード曲を集めましたということ。4曲のみしか収められていないが、誰でも知っているスタンダード曲ではない。ちなみに、この日に録音された残りの曲は、別のアルバムBahiaとStardustに分散している。このことから簡単に分かるが、アルバムの企画があってから録音された訳でないということ。

スタジオにミュージシャンを集めて、何曲かを録音してチョイスしアルバムに仕上げていった。ジャズマンの発言権は、極めて低かったと言える。そんな感じで斜めから読み取ってしまうと、トレーンはスタンダードをほんとうに演奏したかったのか。本作録音の翌年1959年5月には変曲点となったアルバムGiant Stepsを録音しているのだ。

1. Don't Take Your Love From Me
2. I'll Get By (As Long As I Have You)
3. Spring Is Here
4. Invitation

John Coltrane - tenor saxophone
Wilbur Harden - trumpet, flugelhorn
Red Garland - piano
Paul Chambers - bass
Jimmy Cobb - drums

Recorded on July 11, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

John Coltrane / Black Pearls

所有していた中古LPからの買い直し。3曲しか入っていないLPに対して、ボーナストラックを期待したCDであったが、中身は変わらず。改めてコルトレーンのディスコグラフィーを確認したところ、1958年5月23日は、ここでの3曲しか録音していない。ということは、入念なリハーサルを繰り返して録音されたアルバムなのだろう。そう思いたい。

スタンダードナンバー「恋人よ我に帰れ - Lover, Come Back To Me」が、アップテンポで圧倒的な迫力。ドナルド・バードが主導権を握って演奏が進む。バードは、ここでの感触が良かったのだろう。半年後に、自身のファーストアルバムOff To The Racesで再演している。こちらは、ジャッキー・マクリーンとペッパー・アダムスを加えた3管による演奏。所有する全てのアルバムをiTunesに放り込んでいるので、すぐに聴き比べができる。甲乙つけがたいが、リズムのノリはOff To The Racesに軍配。ドラムはどちらもアート・テイラーで、バードとテイラーの練習の成果が出ている。

1. Black Pearls
2. Lover, Come Back To Me
3. Sweet Sapphire Blues

John Coltrane - tenor saxophone
Donald Byrd - trumpet
Red Garland - piano
Paul Chambers - bass
Art Taylor - drums

Recorded on May 23, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.