John Coltrane / The Believer

コルトレーンがリーダーのプレスティッジでの一連のセッションは、1958年12月で区切りを迎えた。本作は、その最後を含めた3つのセッションから構成。ただし、57年12月録音の2曲は、CD化でのボーナストラック。つまり、かつて所有していたLPには3曲しか収録されていなかった。

本作では、このボーナス・トラックが興味深い。アルバムThe Ray Draper Quintet featuring John Coltraneからの収録である。Ray Draper(レイ・ドレイパー)は、チューバ奏者。チューバが主役のジャズは極めて珍しい。しかも、フロントはコルトレーンとの2管のみ。コルトレーンは立ち位置が難しかったと思う。

1. The Believer
2. Nakatini Serenade
3. Do I Love You Because You're Beautiful
4. Filidia
5. Paul's Pal

Tracks 1 & 2
John Coltrane - tenor saxophone
Donald Byrd - trumpet
Red Garland - piano
Paul Chambers - bass
Louis Hayes - drums
Recorded on January 10, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Track 3
John Coltrane - tenor saxophone
Freddie Hubbard - trumpet
Red Garland - piano
Paul Chambers - bass
Art Taylor - drums
Recorded on December 26, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Track 4 & 5
John Coltrane - tenor saxophone
Ray Draper - tuba
Gil Coggins - piano
Spanky DeBrest - bass
Larry Ritchie - drums
Recorded on December 20, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

John Coltrane / Stardust

1958年7月11日のセッションがアルバムStandard Coltrane、Bahia、Stardustに、そして、12月26日のセッションがアルバムBahia、Stardust、The Believerに分散されてリリース。従って、これらはコンセプトがあって作られたアルバムでないことは確か。国内盤LPのライナーノーツを担当した岩波洋三氏は、以下のように書き始めている。

「ジョン・コルトレーンが急死して今年(77年)で十年になる。しかし、彼への関心は少しも衰えず、コルトレーンの肉体は滅びたがその音楽は生きつづけている。〈中略〉現在の若手サックス・プレイヤーたちもこぞってコルトレーンを研究しているが、分析したからコルトレーンが理解できるものでもないし、コルトレーンのようなプレイヤーになれるわけでもない。コルトレーンの音楽はコルトレーンという人問が生み出したものであり、コルトレーンという人間を越えなければコルトレーン以上の音楽は生み出しえないのだ。そのへんのことを誤解してコルトレーンの音楽を分析すれば立派な音楽がやれると思っているからDavid Liebman(デイブ・リーブマン)などはつねに二流にとどまっているのだ」。当時、リーブマンは31歳、岩波氏は44歳。紙面を埋め合わせるために、リーブマンは標的になってしまった。岩波氏は2012年10月5日に他界。享年79。リーブマンは74歳で健在。近年まではジャズの教育に力を注いでいたようだ。

1. Stardust
2. Time After Time
3. Love Thy Neighbor
4. Then I'll Be Tired Of You

John Coltrane - tenor saxophone
Wilbur Harden - flugelhorn (track 1), trumpet (track 3)
Freddie Hubbard - trumpet (track 4)
Red Garland - piano
Paul Chambers - bass
Jimmy Cobb - drums (tracks 1,3)
Arthur Taylor - drums (tracks 2,4)

Tracks 1 & 3
Recorded on July 11, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Tracks 2 & 4
Recorded on December 26, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

John Coltrane / Bahia

コルトレーンは、このアルバムでソプラノサックスを吹いていない。というか、この楽器をまだモノにしていない。それなのに、ジャケット写真に使ってしまった。いい加減である。それがプレスティッジの良さ?とも言えるのかも知れない。

録音のデータやジャケットでアルバムの価値を決めるものではない。良い曲を集めてLPに仕立て上げ、売れれば勝ちという世界。Bahiaは「バイーア」と発音する。「まぁいーや」と聴こえるのだが…。しかし、演奏の中身はトレーンがそろそろ爆発する兆しを感じる。

1. Bahia
2. Goldsboro Express
3. My Ideal
4. I'm A Dreamer, Aren't We All
5. Something I Dreamed Last Night

John Coltrane - tenor saxophone
Wilbur Harden - flugelhorn, trumpet (tracks 3, 4)
Freddie Hubbard - trumpet (track 5)
Red Garland - piano (tracks 1,3-5)
Paul Chambers - bass
Art Taylor - drums (track 1,2,5)
Jimmy Cobb - drums (tracks 3,4)

Tracks 1, 2 & 5
Recorded on December 26, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Tracks 3 & 4
Recorded on July 11, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.