John Coltrane / The Lost Album

2018年6月にリリースされたアルバムで、その時は先行予約して迷わず購入した。コルトレーンの音源はすでに世に出尽くしたと思っていたからだ。自分はその全てをほぼ掻き集め聴いてきたはず。ところが、新たな音源が発掘されるとは。1963年3月6日のスタジオ録音。集団即興アルバムAscensionへ向かう前である。

モードを乗り越えた無調の世界ではなく、グループのアンサンブルを重視した演奏。しかし、6月28日にAscensionを吹き込まなければならなかったコルトレーン。なぜに55年間も録音テープが眠っていたのかは、いろいろと憶測があるようだ。だが、その答えは演奏の中にある。コルトレーンは次のステップに向かう足掛かりが必要だった。だからこそ、Impressionsのテイクを繰り返すことで、次のイメージを作り上げようとしたのだろう。また、翌日にはジョニー・ハートマンとの共演が控えていて、その肩慣らしだったのかも知れない。「失われたアルバム」ではあるものの、「見捨てたアルバム」とも言える。

Disc 1
1. Untitled Original 11383 [take 1]
2. Nature Boy
3. Untitled Original 11386 [take 1]
4. Vilia [take 3]
5. Impressions [take 3]
6. Slow Blues
7. One Up, One Down [take 1]

Disc 2
1. Vilia [take 5]
2. Impressions [take 1]
3. Impressions [take 2]
4. Impressions [take 4]
5. Untitled Original 11386 [take 2]
6. Untitled Original 11386 [take 5]
7. One Up, One Down [take 6]

John Coltrane - soprano saxophone, tenor saxophone
McCoy Tyner - piano
Jimmy Garrison - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on March 6, 1963 at at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

John Coltrane / The 1962 Graz Concert

1962年11月後半からコルトレーンはヨーロッパツアーに出た。フランス・パリ(土曜17日)、スウェーデン・ストックホルム(月曜19日)、フィンランド・ヘルシンキ(火曜20日)、デンマーク・コペンハーゲン(木曜22日)、オーストリア・グラーツ(水曜28日)、イタリア・ミラノ(日曜12月2日)の各都市での公演がアルバムになっている。本作は28日のグラーツ。敢えて曜日を入れたのは、コペンハーゲンとグラーツの間に週末があるため。この週末を含んだ5日間、メンバーが休養を取ったとは思えない。そこで、新たな音源が発掘されていないかと調べたが、今のところは見つかっていないようだ。

このアルバムの極めつきは「枯葉」。しかもソプラノサックスによる「枯葉」である。2枚組CDに収められた8曲全てが、コルトレーンにとってのスタンダード。そして、「枯葉」はジャズの超スタンダード。観客の割れんばかりの拍手が、最高のライブだったことを証明している。

Disc 1
1. Bye Bye Blackbird
2. The Inchworm
3. Autumn Leaves
4. Every Time We Say Goodbye
5. Mr. P.C.

Disc 2
1. I Want To Talk About You
2. Impressions
3. My Favorite Things

John Coltrane - tenor saxophone, soprano saxophone
McCoy Tyner - piano
Jimmy Garrison - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on November 28, 1962 at Stefaniensaal, Graz Austria.

John Coltrane / Bye Bye Blackbird

1962年11月後半、コルトレーンはヨーロッパツアーを行った。その時のライブアルバムが数枚リリースされていて、その中の1枚。19日のストックホルム。ディスコグラフィーによると、この日は2部構成で、前半7曲、後半9曲を演奏している。それらは複数のマイナーレーベルから発売されたが、すでに廃盤となっている模様。パブロ・レーベルは録音状態の良い2曲に絞ったのだろう。

コルトレーンの十八番であるMy Favorite Things, Mr. P.C., Naima, Impressionsなどが入っていないので、迫力に欠けるが、コルトレーンが演奏するBye Bye Blackbirdは、本アルバムとThe 1962 Graz Concert(11月28日、オーストリア)でしか聴く事ができない。タイトルをこの曲名にしたのは正解だろう。

1. Bye Bye Blackbird
2. Traneing In

John Coltrane - tenor saxophone
McCoy Tyner - piano
Jimmy Garrison - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on November 19, 1962 at Konserthuset, Stockholm, Sweden.