John Coltrane / The Paris Concert

タイトルに偽りはないものの、1962年11月と63年11月のパリでのライブアルバム。ただし、2つのコンサート会場は異なり、前者2曲、後者1曲という構成。たった3曲ではあるものの、26分17秒のMr. P.C.が圧巻。中でもギャリソンのベースソロがぞくぞくする。

1979年にLPで発売されたとき、ライナーノーツを担当したのは、ジャズ喫茶『イントロ』の茂串邦明氏。その時点では録音データが不明確で、茂串氏は資料をかき集めて推理を試みた。CD化によってデータは明らかになったが、ボーナストラックは追加されなかった。

1. Mr. P.C.
2. The Inchworm
3. Every Time We Say Goodbye

John Coltrane - soprano saxophone, tenor saxophone
McCoy Tyner - piano
Jimmy Garrison - bass
Elvin Jones - drums

Track 1
Recorded on November 1, 1963 at Salle Pleyel, Paris.

Tracks 2 & 3
Recorded on November 17, 1962 at Olympia Theater, Paris.

John Coltrane / Ballads

このアルバムは、コルトレーンのマウスピース不調で生まれたことはよく知られている。『コルトレーンの世界』(白水社)での「コルトレーンと語る」という章で、フランク・コフスキー(どういう人物かは不明)との会話でコルトレーンはこう語っている。

「あの頃ちょっとしたトラブルがあった。僕はばかげたことをしていた。マウスピースが満足できず、すこしばかりいじってみたら、よくするどころか、壊してしまったのだ。かなりがっくりしたね。〈中略〉僕が到達しようとしていたあの速く吹きまくることが、マウスピースを台なしにしてしまったためやれなくなったからだ。だから、僕は省略して演奏せねばならなくなった〈後略〉」。つまり、自我を抑え、一音一音に集中したコルトレーンを捉えたアルバムなのである。

1. Say It
2. You Don't Know What Love Is
3. Too Young To Go Steady
4. All Or Nothing At All
5. I Wish I Knew
6. What's New
7. It's Easy To Remember
8. Nancy

John Coltrane - tenor saxophone, soprano saxophone
McCoy Tyner - piano
Jimmy Garrison - bass (tracks 1-6,8)
Reggie Workman - bass (track 7)
Elvin Jones - drums

Track 7
Recorded on December 21, 1961 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Tracks 6 & 8
Recorded on September 18, 1962 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Tracks 1 - 5
Recorded on November 13, 1962 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

John Coltrane / Duke Ellington & John Coltrane

In A Sentimental Moodを録り終えた時、コルトレーンとデューク・エリントンのやりとりがあったことは有名である。コルトレーンの"Let's do it again."の提案に対し、エリントンは"John, that was such a great performance."と答えた。さらに、"John, don't do it again. That's it."と止めを刺したのである。この時、コルトレーンは大先輩エリントンから、一発勝負の厳しさを教わったのだと思う。

コルトレーンのディスコグラフィーに記載された録音当日のマトリクス番号を見ると、Stevieから録音が始まり、2曲目がIn A Sentimental Moodとなっている。残りの5曲に、コルトレーンは気合を入れ直して臨んだに違いない。コルトレーンにとって、大きな分岐点となった一枚である。

1. In A Sentimental Mood
2. Take The Coltrane
3. Big Nick
4. Stevie
5. My Little Brown Book
6. Angelica
7. The Feeling Of Jazz

John Coltrane - tenor saxophone, soprano saxophone (track 3)
Duke Ellington - piano
Aaron Bell - bass (tracks 1,4,5,7)
Jimmy Garrison - bass (tracks 2,3,6)
Elvin Jones - drums (tracks 1-3,6)
Sam Woodyard - drums (tracks 4,5,7)

Recorded on September 26, 1962 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.