Jim Hall / Valse Hot: Sweet Basil 1978

ジム・ホールのベースとのデュオというと、1972年4月録音のロン・カーターとのライブアルバムAlone Togetherがすぐに思い浮かぶ。それから6年後の78年1月、相手をレッド・ミッチェルに替えて、再びライブ演奏に取り組んだ。今度は、タイトルにロリンズ作Valse Hotを入れている。そして、Alone Togetherを再演。そうなると、2つのAlone Togetherを聴き比べたくなる。

どちらも、ベースが主旋律を担っている。カーターは快走、ミッチェルは重厚といった感じ。それは、この曲だけに限らず、アルバム全体に言えること。ミッチェルは、アルバムAlone Togetherをすでに聴いていただろう。その中で、この曲だけは必然的にカーターと比較されてしまうので、やり難かったと想像してしまうのだ。いや、カーターとは違う味を出したいとミッチェルの選曲だったのかもしれない。

ところで、このアルバムにはハイレゾ音源を収録したディスクがオマケ?で付いてくる。ディスクのラベルには、24Bit/96k Filesと書かれているが、実際のWAVファイルのプロパティを見ると9216kbpsになっている。つまり、192kHz×24bit×2ch=9216kbpsなので、96kではなく192kHzが正解。この場合、1分当たり69.12MBのファイル容量。全6曲で3.396GBなので、49分余りの演奏となる。ジャケット裏に記載のトータル50分と合致する。

1. Now's The Time
2. Valse Hot
3. Alone Together
4. There Is No Greater Love
5. God Bless The Child
6. Stella By Starlight

Disc 1 - Audio 16bit/44.1kHz
Disc 2 - High Resolution 24bit/192kHz

Jim Hall - guitar
Red Mitchell - bass

Recorded on January 18 & 19, 1978 at Sweet Basil, NYC.

Joe Farrell / Outback

ジョー・ファレルが参加したチック・コリアのカモメ、つまりアルバムReturn To Foreverのちょうど3か月前、1971年11月4日の録音。本作とカモメの共通メンバーは、この2人以外にアイアート・モレイラ。従って、本作にはカモメ的雰囲気が漂うのだが、バスター・ウィリアムスのベース、エルビン・ジョーンズのドラムによって、カモメよりは重心が低い感じだ。カモメが助走に時間を掛け、水面から飛び立つイメージ。

カモメは、その名の通りジャケットが見事なアイコンとなった。本作も負けていない。ジャケットを見開いた時に強烈な印象を与える。インテリアとしても使える写真で、写真家Pete Turner(ピート・ターナー)の作品。彼のサイトでこの写真を見つけることができた(URLは以下に記載)。本来はもっと明るい仕上がりの写真だが、ジャケット用にインパクトを抑えたようだ。つまり、ジャケットも重心が低い。ちなみに、彼の写真はビル・エバンスのMontreux II、ウェス・モンゴメリーのRoad Songなどのアルバムで使われている。

https://www.peteturner.com/Africa/index.html

1. Outback
2. Sound Down
3. Bleeding Orchid
4. November 68th

Joe Farrell - tenor saxophone, soprano saxophone, flute, alto flute, piccolo
Chick Corea - electric piano
Buster Williams - bass
Elvin Jones - drums
Airto Moreira - percussion

Recorded on November 4, 1971 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Johnny Griffin / JG

ジョニー・グリフィンの初リーダーセッション。本作は、1956年初め地元シカゴでの録音。その後、グリフィンはニューヨークに進出。同年4月17日には、アルバムIntroducing Johnny Griffinを録音し、57年2月にブルーノートからリリースされた。一方のシカゴ録音は、58年に入ってからシカゴのレーベル・アーゴがリリース。従って、初リーダーアルバムは、形式上Introducing ...になるのだ。アーゴが決断を迷っている間に、もしくは制作作業に手間取っている間に、ブルーノートに先を越されたことになる。

後追いの結果になってしまったのだから、ジャケットに工夫を凝らし、タイトルもChicago's New Tenorみたいな感じで売りだすべきだった。そういう経緯は別にして、グリフィンのサックスの音色は、初期から確立されていたことがよく分かるアルバム。さらに、Satin Wrap, Bee-Ees, Lollypopの3曲はグリフィンの作品であることにも注目したい。

1. I Cried For You
2. Satin Wrap
3. Yesterdays
4. Riff-Raff
5. Bee-Ees
6. The Boy Next Door
7. These Foolish Things
8. Lollypop

Johnny Griffin - tenor saxophone
Junior Mance - piano
Wilbur Ware - bass
Buddy Smith - drums

Recorded in early 1956, Chicago, IL.