John Lewis / Improvised Meditations & Excursions

邦題は『瞑想と逸脱の世界』。このタイトルだけを聞けば、コルトレーンやコールマンかと思ってしまう。しかも、演奏を聴いて、どこに「瞑想」のイメージがあり、どこへ「逸脱」するのか分からない。meditationは「瞑想、思索」であり、excursionは「逸脱、脱線」なので、邦題に問題はない。そもそも、このタイトルはジョン・ルイス自身なのか、それともプロデューサーによるものなのか。

MJQを除き、このルイスのリーダーアルバムは6作目。それまでピアノトリオで通したアルバムはなかった。つまり、彼にとっては新たな取り組みだった訳である。excursionの語源は「外に走り出ること」。そこから「未知の分野などに足を踏み入れること」という意味合いが含まれる。「即興で思索しながら、初のピアノトリオ・アルバム」と受け取ったほうが良いだろう。かなり意訳になるが、「ジョン・ルイスの新たな挑戦」。こんな邦題にしていれば、売り上げ倍増。だったかも知れない。

1. Now's The Time
2. Smoke Gets In Your Eyes
3. Delaunay's Dilemma
4. Love Me
5. Yesterdays
6. How Long Has This Been Going On
7. September Song

John Lewis - piano
George Duvivier - bass (tracks 1-3,7)
Percy Heath - bass (tracks 4-6)
Connie Kay - drums

Recorded on May 7 & 8, 1959.

John Lewis / The John Lewis Piano

1956年7月から57年8月までの3回のセッションをまとめたアルバム。ジョン・ルイスのピアノソロはなく、デュオかピアノトリオによる構成。そして、デュオの相手はドラムかギター。あくまでも主役はルイスであって、セッションに参加したメンバーは引き立て役でしかない。つまり、ジャズ本来のインタープレイを楽しむアルバムではないということ。そういう意味では、タイトルThe John Lewis Pianoは演奏内容を適確に表している。

気になるのは6曲目のWarmelandで、スウェーデンのトラディショナル曲Dear Old Stockholmを指している。原曲のタイトルAck Värmeland, du skönaを忠実に英語表記したようだ。ところが、ルイス名義の56年12月録音のアルバムAfternoon In Parisでは、Dear Old Stockholmと記載して収録しているのだ。つまり、同じ曲を2つのアルバムに続けて録音することにルイスはためらいを感じ、曲名を伏せたのだろう。ここにルイスの性格が読み取れる。

1. Harlequin
2. Little Girl Blue
3. The Bad And The Beautiful
4. D & E
5. It Never Entered My Mind
6. Warmeland
7. Two Lyric Pieces: a. Pierrot, b. Colombine

John Lewis - piano
Barry Galbraith - giutar (tracks 3,5,6)
Jim Hall - guitar (tracks 7)
Percy Heath - bass (tracks 2,4)
Connie Kay - drums (tracks 1,2,4)

Recorded on July 30, 1956, February 21 and August 24, 1957 at NYC and the Music Inn in Lenox, MA.

John Lewis / Afternoon In Paris

ジョン・ルイスが、フランスの若手ギタリストのサッシャ・ディステル、そしてテナーサックスのバルネ・ウィランを迎えてパリで録音。1956年12月の2回のセッションによる構成で、ベースとドラムは入れ替わっている。事前にしっかり準備して録音されたアルバムだと思うが、何故か録音スタジオのデータが残っていない。

エッフェル塔をバックにルイスとディステル。赤と青のストライプは、フランス国旗のイメージ。ジャケット下の参加メンバーの頭文字にも赤と青。パリを前面に出したアルバムとも言える。しかしながら、最高の出来は、2曲目のディア・オールド・ストックホルム。これいかに。

1. I Cover The Waterfront
2. Dear Old Stockholm
3. Afternoon In Paris
4. All The Things You Are
5. Bags' Groove
6. Willow Weep For Me

Barney Wilen - tenor saxophone
Sacha Distel - guitar
John Lewis - piano
Pierre Michelot - bass (tracks 1-3)
Connie Kay - drums (tracks 1-3)
Percy Heath - bass (tracks 4-6)
Kenny Clarke - drums (tracks 4-6)

Recorded on December 4 & 7, 1956 in Paris.