Joe Henderson / Mode For Joe

ジョー・ヘンダーソン、リー・モーガン、カーティス・フラーによるフロント3管。さらに、ボビー・ハッチャーソンのヴァイブが加わって、タイトル通りのモーダルな雰囲気を醸し出す。それを見事にバックアップしているのが、シダー・ウォルトン。ウォルトンは、タイトル曲のMode For JoeとBlackをここでは提供し、本作から約10年後の1975年10月に録音したアルバムEastern RebellionでMode For Joeを再演している。

ふと、マイルスとヘンダーソンとの共演があったか気になり、Wikipediaを見たら次の一文があった。「1967年には、短期間ではあったがハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、ロン・カーター、トニー・ウィリアムスを擁するマイルス・デイビス・クインテットに参加した。しかし、このバンドでの録音は行われなかった」。本作録音の翌年のことである。さらに、マイルス自叙伝②には、「テナーサックスが2本のセクステットを試していたから、1967年の初めにはジョー・ヘンダーソンが入っていた」とあった。もし、マイルスがテナー2本構成に新たな可能性を見いだしていれば、ヘンダーソンのその後の方向性は大きく変わっただろう。

1. A Shade Of Jade
2. Mode For Joe
3. Black
4. Caribbean Fire Dance
5. Granted
6. Free Wheelin'
7. Black [alternate take]

Joe Henderson - tenor saxophone
Lee Morgan - trumpet
Curtis Fuller - trombone
Bobby Hutcherson - vibraphone
Cedar Walton - piano
Ron Carter - double bass
Joe Chambers - drums

Recorded on January 27, 1966 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Joe Henderson / Inner Urge

ゾクゾクする。1964年11月録音。ジャズが最高に熱かった時代。ただ、どうしても比較してしまうのがコルトレーン。コルトレーンは、このアルバムの9日後にアルバムA Love Supremeを録音している。そこには、マッコイとエルビンがいた。プロデューサーのアルフレッド・ライオンは、さすがにジミー・ギャリソンまでを引っ張り出すことはできず、ボブ・クランショウを指名したのだろう。クランショウは、本作の録音時期でロリンズの正規メンバーだった。つまり、ヘンダーソンは、コルトレーンとロリンズからメンバーを借りて本作に臨んだことになる。

コルトレーン1926年9月生まれ、ヘンダーソン37年4月生まれ。ヘンダーソンは、間違いなく10年先輩のコルトレーンを意識していたはずだ。改めて聴くと、ベースの存在感の違いを感じる。ジミー・ギャリソンのベースは、地べたを這いながら音空間へ飛び出す。クランショウは、地べたに這ったまま。いい悪いではなく、ベーシストとしてのスタイルの違い。

1. Inner Urge
2. Isotope
3. El Barrio
4. You Know I Care
5. Night And Day

Joe Henderson - tenor saxophone
McCoy Tyner - piano
Bob Cranshaw - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on November 30, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Joe Henderson / In 'N Out

マッコイがいて、エルビンもいる。もう、それだけでワクワクしてくるアルバム。別テイクを除き、最初の3曲がジョー・ヘンダーソン、残り2曲がケニー・ドーハムの作品。だが、決め手となる曲がない。一流の料理人は揃えたが、材料の仕込みが足りなった感じだ。それでも、マッコイのモーダルなピアノ、エルビンの切れ味鋭いドラムが、どうにか緊張感を保っている。

演奏そのものには多少の不満が残るものの、ジャケットに本作の真髄がある。白のバックに黒のタイポグラフィ。そして、ジョー・ヘンダーソンの赤い文字。しかし、良く見るとメンバー5人の中で、マッコイだけがジャケットに記載されずetc.とされてしまっている。本作の録音から19日後の1964年4月29日、マッコイはウェイン・ショーターのアルバムNight Dreamerに参加。このアルバムにはエルビンも参加していて、本作と同様にジャケットに名前が記載されているが、マッコイはやはりEtcとなっている。マッコイは契約中のインパルスから何らかの制約を受けていたのだろう。

1. In 'N Out
2. Punjab
3. Serenity
4. Short Story
5. Brown's Town
6. In 'N Out [alternate take]

Joe Henderson - tenor saxophone
Kenny Dorham - trumpet
McCoy Tyner - piano
Richard Davis - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on April 10, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.