Jack DeJohnette / Tin Can Alley

不思議なアルバム。LPにはRecorded live Tonstudio Bauer, Ludwigsburg, September 1980と記載されている。スタジオライブなのだが、日にちを特定していない。さらには、CDではSeptember 1980が消去されている。そして、4曲目のThe Gri Gri Manはジャック・ディジョネットによる一人多重録音。これをスタジオライブと呼べるのだろうか。

そして、LPとCDの両方には、Authentic Willisau applause originally prepared at Willisau Jazz Festival August 1980と注釈的な記載。このジャズ・フェスティバルの1980年のプログラムをネットで見つけたところ、1980, August 28 / JACK DEJOHNETTE'S SPECIAL EDITIONとあった。ラスト曲I Knowは、ここでの観客の拍手を重ねているのだろうか。アルバム全体としては、フロント2管にベースとドラムという構成。フロント陣は自由に、そして重厚感のある演奏をしている。しかし、ECMというレーベルは、データを隠すという姑息な手段をよく取るのだ。

1. Tin Can Alley
2. Pastel Rhapsody
3. Riff Raff
4. The Gri Gri Man
5. I Know

Chico Freeman - tenor saxophone, flute, bass clarinet
John Purcell - baritone saxophone, alto saxophone, flute
Peter Warren - bass, cello
Jack DeJohnette - drums, piano, organ, conga, timpani, vocal

Recorded in September 1980 at Tonstudio Bauer, Ludwigsburg.

Jack DeJohnette / Special Edition

このアルバムには「躍動」という言葉が当てはまる。1979年3月録音。70年代を突き抜け80年代に突入する感じ。全5曲中、Central Park WestとIndiaはコルトレーンの作品。それぞれ、アルバムColtrane's SoundとImpressionsに収録。残り3曲はディジョネット自身の作品で、1曲目のOne For Ericはエリック・ドルフィーに捧げたものであろう。2曲目のZoot SuiteはZoot Sims(ズート・シムズ)と何か関係があるのだろうか。79年の時点、シムズはまだ現役なのだが。

5曲とも非常に完成された仕上がりになっていて、その中でもIndiaが最も印象に残る。デヴィッド・マレイのバスクラリネットが、61年11月3日のビレッジ・バンガードでのドルフィーのバスクラリネットと重なってくるからだ。

1. One For Eric
2. Zoot Suite
3. Central Park West
4. India
5. Journey To The Twin Planet

David Murray - tenor saxophone, bass clarinet
Arthur Blythe - alto saxophone
Peter Warren - bass, cello
Jack DeJohnette - drums, piano, melodica

Recorded in March 1979 at Generation Sound Studios, NYC.

Jack DeJohnette / New Directions

1970年代後半、ジャズは迷走していた。そして1976年6月、ハービー・ハンコックはV.S.O.P.クインテットでジャズに活力を与えた。これが一つのきっかけとなり、ジャズ界に新たな動きが始まったと思っている。このプロジェクトもその一つ。

ジャズ界の中にあって、異なる経歴を持つミュージシャンが集まって音作りをした。ジャック・ディジョネット、ジョン・アバークロンビー、レスター・ボウイ、エディ・ゴメスの4人が演奏する楽器は、複雑に絡み合い瞬間的に役割を交代していく。調和を目指したのではなく、緊張感を表現しようとしたのだと思う。それがNew Directionsのタイトルになったのだろう。V.S.O.P.とは両極端にある存在だった。

1. Bayou Fever
2. Where Or Wayne
3. Dream Stalker
4. One Handed Woman
5. Silver Hollow

Lester Bowie - trumpet
John Abercrombie - guitar, mandolin
Eddie Gomez - bass
Jack DeJohnette - drums, piano

Recorded in June 1978 at Talent Studio, Oslo.