Gato Barbieri / Yesterdays

所有アルバムの中で、名曲Yesterdaysが収録されているのは30枚近く。数多くのジャズミュージシャンが取り上げてきた代表的なスタンダード曲だ。ガトー・バルビエリは、そんな曲に珍しく挑戦した。コルトレーンに触発されたガトー。コルトレーンが楽曲My Favorite Thingsに心血を注いだように、ガトーはYesterdaysを題材として選んだのかもしれない。

その結果、他の類を見ない大迫力のYesterdaysが出来上がり、1曲目に配置されアルバムタイトルにもなった。だが、この曲への挑戦は一度切りだったようだ。個人的には、徹底的にYesterdaysを掘り下げ、分解し、そして再構築してガトーのYesterdaysと言われるまで取り組んで欲しかった。次の曲「ア・ジョン・コルトレーン・ブルース」が、少し空しい感じに思われてしまう。

1. Yesterdays
2. A John Coltrane Blues
3. Marnie
4. Cariňoso

Gato Barbieri - tenor saxophone
Paul Metzke - electric guitar
Jorge Dalto - piano, electric piano
Ron Carter - electric bass
Bernard Purdie - drums
Ray Mantilla - timbales
Babafemi - congas

Recorded in 1974 at New York City.

Gato Barbieri / El Pampero

1971年6月のモントルー・ジャズ・フェスティバルでのライブ。ガトー・バルビエリのアルバムは12枚所有しているが、ライブアルバムは本作とChapter Fourのみ。ガトーの正式なディスコグラフィーが見つからないので、何とも言えないが、ライブアルバムは多く遺していないようだ。そういう意味では、貴重な音源である。

原田和典氏のライナーノーツによると、ライブの当日(6月18日)は、ボブ・シールが69年に設立した独立レーベルFlying Dutchman所属のアーティストによるステージだったらしい。従って、ガトー・グループはその中の1つ。全4曲41分40秒のアルバムで、ライブの全貌を捉えていると思える。観客は酔いしれ、鳴りやまない拍手があったに違いないし、アンコールの手拍子も続いただろう。ところが、演奏の終わりに入る観客からの歓声は、各曲とも同じパターン。明らかに被せた感じだ。なお、pampero(パンペロ)とは、アルゼンチン・ウルグアイで吹き降ろす西または南西の突風のこと。ガトーは、突風をスイス・モントルーに巻き起こしたのだ。

1. El Pampero
2. Mi Buenos Aires Querido
3. Brasil
4. El Arriero

Gato Barbieri - tenor saxophone
Lonnie Liston Smith - piano
Chuck Rainey - electric bass
Bernard Purdie - drums
Sonny Morgan - congas
Naná Vasconcelos - berimbau, percussion

Recorded on June 18, 1971 at Montreux Jazz Festival, Switzerland.

Gato Barbieri / Fenix

ガトー・バルビエリとマイルス・デイビスの接点は見いだせない。マイルスのディスコグラフィーに、ガトーは一度も出てこない事実からも明らかだ。しかし、本作の参加メンバーから、間接的なつながりがあったことが分かる。

エレキベースながらロン・カーター。マイルスのアルバムBitches Brew(1969年8月録音)に参加したレニー・ホワイト。アルバムBig Funの収録曲Ife(72年6月録音)に参加したロニー・リストン・スミス。さらに、本作では1曲のみの参加だが、マイルスバンド初のエレキギタリスト(67年12月から68年2月のセッション)であったジョー・ベック。Ifeは本作の録音1年後であるため、マイルスの洗礼を受けた、もしくは受けることになるミュージシャン達である。

そんな彼らを見事に統率したガトー。前作のThe Third Worldではトロンボーンとのフロント2管であったが、本作では1管に絞って不死鳥を演じようとした。ジャケットを見ると、不死鳥がガトー、しっかり掴まっているのがマイルスのように思えてくる。

1. Tupac Amaru
2. Carnavalito
3. Falsa Bahiana
4. El Dia Que Me Quieras
5. El Arriero
6. Bahia

Gato Barbieri - tenor saxophone
Lonnie Liston Smith - piano, electric piano
Joe Beck - electric guitar (track 1)
Ron Carter - electric bass
Lenny White - drums
Gene Golden - congas, bongos
Naná Vasconcelos - berimbau, bongos

Recorded on April 27 and 28, 1971 at Atlantic Recording Studios, New York.