Eric Dolphy / In Europe Vol.1

1961年9月6日と8日のコペンハーゲンでのセッションが3枚のアルバムに分散。ベスト曲がVol.1、残りがVol.2と3という構成ではないので、セッションの様子を知るためには、3枚すべてを聴く必要がある。Vol.1は、チャック・イスラエルとのデュオHi-Flyで始まる。フルートとベースの組み合わせ。イスラエルは飛び入り参加であった。ちなみに、イスラエルは62年5月からビル・エバンスのトリオにスコット・ラファロの後任として参加。

Vol.1の最大の聴きどころはGod Bless The Childのバスクラリネット独奏。ドルフィーは、5回の独奏ライブをアルバムに残している。1961年7月ニューヨークFive Spot(5分38秒)、8月ベルリン(3分18秒)、9月コペンハーゲン(7分6秒)、11月ストックホルム(5分25秒)、そして63年3月のイリノイ大学(8分45秒)。括弧内は演奏時間。演奏内容と時間が比例する訳でないが、ライブ会場の雰囲気が良く、イマジネーションが高まれば、独奏だけに時間は長くなるはず。5回の演奏を続けて聴いたが、その通りであった。

1. Hi-Fly
2. Glad To Be Unhappy
3. God Bless The Child
4. Oleo

Eric Dolphy - flute (tracks 1,2), bass clarinet (tracks 3,4)
Bent Axen - piano (tracks 2,4)
Chuck Israels - bass (track 1)
Erik Moseholm - bass (tracks 2,4)
Jorn Elniff - drums (tracks 2,4)

Recorded on September 8, 1961 at Studenterforeningen, Copenhagen.

Eric Dolphy / Here And There

3つのセッションを一つにまとめたアルバム。それぞれのセッションは、独立のアルバムになっているので、それから漏れた曲を集めた構成。決して不出来な演奏ではないが、アルバムとしての価値が高いとは言えない。それを補うようにタイトルに工夫を凝らしている。Here And There(此岸と彼岸)。この曲がある訳ではない。エリック・ドルフィーにとって米国が「此岸」、ヨーロッパが「彼岸」であったと考えるのは、無理があるだろうか。

1曲目と2曲目は、1961年7月16日のファイブ・スポットでのライブ演奏。ドルフィーのディスコグラフィーによれば、この2曲からライブが始まったようだ。となると、2曲目でいきなりバスクラリネットのソロによるGod Bless The Child(邦題:神よめぐみを)を披露したことになる。その日の観客は、圧倒されただろう。本作での最も注目すべき1曲だ。

1. Status Seeking
2. God Bless The Child
3. April Fool
4. G.W. [take 1]
5. Don't Blame Me

Tracks 1 & 2
Eric Dolphy - alto saxophone (tracks 1), bass clarinet (track 2)
Booker Little - trumpet (track 1)
Mal Waldron - piano (track 1)
Richard Davis - double bass (track 1)
Eddie Blackwell - drums (track 1)
Recorded on July 16, 1961 at Five Spot, NYC.

Tracks 3 & 4
Eric Dolphy - flute (track 3), alto saxophone (track 4)
Freddie Hubbard - trumpet (track 4)
Jaki Byard - piano (track 3)
George Tucker - double bass
Roy Haynes - drums
Recorded on April 1, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Track 5
Eric Dolphy - flute
Bent Axen - piano
Erik Moseholm - double bass
Jorn Elniff - drums
Recorded on September 6, 1961 at Berlingske Has, Copenhagen.

Eric Dolphy / Berlin Concerts

かつて、2枚組LPでリリースされたアルバム。当然ながら、LPは所有していたのだが録音データが曖昧だった。収録された全7曲は、1961年8月31日のベルリンでのライブ。ただし、4曲はジャズクラブ、3曲はコンサートホールの録音で、それらが演奏順を無視して無理矢理押し込められている。LPの収録時間の関係から致し方なかったのだろう。

CDになって曲順がライブ演奏に合わせて見直されると思ったが、LPと変わらず。ドイツの名門レーベルenjaとしては、いかにも手を抜いた形だ。エリック・ドルフィーという、ジャズに大きな痕跡を残したミュージシャンのライブ演奏は忠実に再現すべきだ。コンサートが終わってからジャズクラブで演奏したと仮定し、ドルフィーのディスコグラフィーが演奏順に記載されているとすれば、以下の曲順になる(括弧内は楽器構成と演奏時間)。コンサートでは3分から5分程度の短い演奏の3曲のみ。他の曲の録音に失敗したのか、ドルフィーは前座の扱いだったのか。謎のままである。

< Funkturm Exhibition Hal >
1. G.W. [quintet] (2:54)
2. God Bless The Child [solo] (3:33)
3. 245 [quintet] (5:42)
< Club Jazz Salon >
4. Hot House [quintet] (19:09)
5. When Lights Are Low [trio] (13:07)
6. Hi-Fly [trio] (14:43)
7. I'll Remember April [quintet] (13:32)

* * * * *

1. Hot House
2. When Lights Are Low
3. G.W. [mistitles as Geewee]
4. God Bless The Child
5. Hi-Fly
6. 245 [mistitled as The Meeting]
7. I'll Remember April

Eric Dolphy - alto saxophone, bass clarinet
Benny Bailey - trumpet (tracks 1,3,6,7)
Pepsi Auer - piano (tracks 1,3,6,7)
Jamil Nasser - bass (except track 4)
Buster Smith - drums (except track 4)

Tracks 1, 2, 5 & 7
Recorded on August 30, 1961 at Club Jazz Salon, Berlin, West Germany.

Tracks 3, 4 & 6
Recorded on August 30, 1961 at Funkturm Exhibition Hal, Berlin, West Germany.