Cannonball Adderley / Alison's Uncle

名盤Somethin' Elseの姉妹品のようなアルバム。Somethin' Elseから落ちた曲Alison's UncleとオリジナルにあるAutumn Leavesの2曲を無理矢理1枚のアルバムにしてしまった。2曲のみで45回転LP。今では考えられない企画で、アルバム化されなかった音源を発掘するのが1980年代に流行となった。このアルバムが発売されたのは1983年末。

しかも、キャノンボール・アダレイの作品として紹介されたAlison's Uncleは、実はハンク・ジョーンズのBangoonという作品であったことが後に判明。発売元の東芝EMIから謝罪文がでたかどうかは知らない。以下はライナーノーツから抜粋。

「このほどブルーノートの日本販売権を獲得した東芝EMIのスタッフがアメリカに飛んで調査したところ、なんと1曲とはいえ、『サムシン・エルス』とまったく同じメンバーで、しかも同年同月同日にレコーディングされていた未発表演奏が発見された。〈中略〉この曲はレコーディングの直前にキャノンボールの弟ナット・アダレイの子供が生まれ、アリソンと名付けられたところから、キャノンボール自ら『アリソンのおじさん』と命題したもの」。恐らく女性であるこのアリソンは今年63歳になったが、十字架を背負って生きているのであろうか?

1. Alison's Uncle
2. Autumn Leaves

Cannonball Adderley - alto saxophone
Miles Davis - trumpet
Hank Jones - piano
Sam Jones - bass
Art Blakey - drums

Recorded on March 9, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Cannonball Adderley / Somethin' Else

大学時代、このアルバムを聴きながら、ジャズ研の仲間と何度ジャズの議論をし、何度酔っ払い、何度つぶれたか。何の議論をしていたのかほとんど忘れてしまったが、「ベーシストはベースラインを弾くのは当たり前で、それ以上に曲全体とメンバーをどうまとめるかを考えろ!」と先輩が熱く語っていたことを思い出す。つまり、Somethin' Elseを生み出すのがジャズなんだと言っていたのだろう。

さて、本アルバムについては、どの解説にもキャノンボール・アダレイ名義だが、実質的にはマイルスが統制を執っている、と書いている。実際にそうだったのだろう。だが、ラスト曲Dancing In The Darkでは、マイルスは参加していない。マイルス・デイビス自叙伝①の346ページにこう書いてある。『ニューヨークに帰ると、ブルーノートと契約したキャノンボールのレコーディングが待っていた。奴がオレにも加わって欲しいと言うから、友情として付き合った。「サムシング・エルス」というレコードで、なかなか良かった』。マイルスの発言が真実であるとすれば、単なる友情出演のアルバムなのだ。

1. Autumn Leaves
2. Love For Sale
3. Somethin' Else
4. One For Daddy-O
5. Dancing In The Dark

Cannonball Adderley - alto saxophone
Miles Davis - trumpet (except track 5)
Hank Jones - piano
Sam Jones - bass
Art Blakey - drums

Recorded on March 9, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Cannonball Adderley / Presenting Cannonball

児山紀芳氏のライナーノーツはこう始まる。「モダンジャズを語るとき"1955年"という年は特別な響きを持っている。まず真っ先に頭に浮かぶのはチャーリー・パーカーがこの世から旅立った年だということだ」。そして、アダレイ兄弟の話に移る。「ニューヨークに来て2週間目の6月28日には2人はケニー・クラークをリーダーにした〈ボヘミア・アフター・ダーク〉というアルバムの録音に抜擢された。これがアダレイ兄弟の処女録音だ。それから約2週間後の7月14日、こんどはルディ・バンゲルダーのスタジオでキャノンボールをリーダーとする最初のセッションが行われた。それがこの〈プレゼンティング・キャノンボール〉になった」。

そして、最後はこう締め括る。「キャノンボールはこのとき26歳!曲の配分からテンポの設定に至るまで非の打ち所のない演出で実力のすべてを出し切っている。まさに驚異の新人現わる!だったのだ」。児山氏の指摘通りだと思うのだが、残念ながら、このアルバムに名演はあるものの名曲はない。1曲でもいいから名曲を入れていれば、もっと価値は高くなったのだろう。だが、メンバーを見れば分かる通り、その後のジャズ界を担っていったジャズマン達である。

1. Spontaneous Combustion
2. Still Talkin' To Ya
3. A Little Taste
4. Caribbean Cutie
5. Flamingo

Cannonball Adderley - alto saxophone
Nat Adderley - cornet
Hank Jones - piano
Paul Chambers - bass
Kenny Clarke - drums

Recorded on July 14, 1955 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.