Count Basie / Basie & Zoot

カウント・ベイシーとズート・シムズの組合せは、ジャズにある程度詳しい人でもなかなか思いつかない。パブロ・レーベルを創立したノーマン・グランツが、それを企画した。これは大当たり(だったと思う)。だがしかし、続編は作られなかったようだ。せめて、パブロの十八番(おはこ)であるライブ録音を残してほしかったのだが。

二人の生年月日を調べてみたら、ベイシーは1904年8月21日、シムズは25年10月29日。なんと20歳以上の差があった。写真をペインティングしたようなジャケット。「オヤジ、まだしっくりこない。もう一度撮りたいけど…」とシムズがベイシーに問い掛けている感じ。灰皿が一杯になるほど、納得いくまでセッションに臨んだのだろう。そして、ベイシーは「ピアノだけじゃなくて、オルガンも弾いてみようか」と作り上げたアルバム。

1. I Never Knew
2. It's Only A Paper Moon
3. Blues For Nat Cole
4. Captain Bligh
5. Honeysuckle Rose
6. Hardav
7. Mean To Me
8. I Surrender, Dear

Zoot Sims - tenor saxophone
Count Basie - piano, organ
John Heard - double bass
Louie Bellson - drums

Recorded on April 9, 1975 at RCA Studios, NYC.

Count Basie / The Kansas City 7

カウント・ベイシー楽団からのピック・アップ・コンボ「カンサス・シティ・セブン」。この響きだけで、気持ちはスイングする。ベイシーと、ベイシーが選びに選んだ「七人の侍」によるスイング・ジャズ。録音は1962年3月21日と22日。初日のフランク・ウェスから、二日目はフランク・フォスターへ交替し、合計では8人。この時期、すでにコルトレーンは自己を確立し、エリック・ドルフィーも第一線で活動していた。ジャズが大きくうねり始めていたころ。

ベイシーは「でもね、ジャズのキホンはスイングだよね」と、主張したかったのだろう。レーベル・インパルスが、コルトレーンを主軸に置きながらも、ベイシーを後押しして、このアルバムをリリース。インパルスはジャズを大きく捉えていたと感心してしまう。

1. Oh, Lady, Be Good
2. Secrets
3. I Want A Little Girl
4. Shoe Shine Boy
5. Count's Place
6. Senator Whitehead
7. Tally-Ho, Mr. Basie!
8. What'cha Talkin'?

Thad Jones - trumpet
Eric Dixon - tenor saxophone, flute, clarinet
Frank Foster - tenor saxophone, clarinet (tracks 1,3-5,7)
Frank Wess - flute, alto flute (tracks 2,6,8)
Freddie Greene - guitar
Count Basie - piano, organ
Eddie Jones - bass
Sonny Payne - drums

Recorded on March 21 (tracks 2, 6 & 8) & 22 (tracks 1, 3-5 & 7), 1962 at Rudy Van Gelder Studio in Englewood Cliffs, New Jersey.

Count Basie / Atomic Basie

CD化でジャケットの差替えを期待していたが、結局はそのまま。タイトルAtomic Basieはよしとしても、ジャケット写真で何を伝えようとしたのか。ベイシーが何も考えずに了解したとすれば、最低のジャズマンと言わざるを得ない。LPのライナーノーツで、瀬川昌久氏はジャケットに関して一言も触れていない。この感覚にも疑問を持ってしまう。もう死語となってしまった「レコード文化」から言えば、それはレコード盤面から聴こえてくる音楽と、それを包むジャケットが相まって創造されるものだろう。

CDでは、タイトルがThe Complete Atomic Basieとなり9曲が追加された。そして、ジャケット下に"E = MC2 = Count Basie Orchestra + Neal Hefti Arrangements"の等号式を記載。なんとなく逃げ場所を作っている感じだ。で、演奏の中身はダイナミズムを感じるものの、アレンジャーであるニール・ヘフティの術中にハマったようだ。つまり、スコア通りでベイシーの遊び心が出ていない。まぁ、ジャケットに数式を書いてしまった時点で、「ジャズ本来の自由度を有していません」と宣言しているようなものなのだが。

1. The Kid From Red Bank
2. Duet
3. After Supper
4. Flight Of The Foo Bird
5. Double-O
6. Teddy The Toad
7. Whirly-Bird
8. Midnite Blue
9. Splanky
10. Fantail
11. Lil' Darlin'
12. Silks And Satins
13. Sleepwalker's Serenade [alternate take]
14. Sleepwalker's Serenade
15. The Late Late Show
16. The Late Late Show [vocal version]

Wendell Culley, Snooky Young, Thad Jones, Joe Newman - trumpet
Henry Coker, Al Grey, Benny Powell - trombone
Marshall Royal, Frank Wess, Eddie "Lockjaw" Davis, Frank Foster, Charles Fowlkes - reeds
Freddie Green - guitar
Count Basie - piano
Eddie Jones - bass
Sonny Payne - drums

Recorded on October 21 & 22, 1957 at Capitol Studios, NYC.