Clifford Brown / Clifford Brown And Max Roach

大学のジャズ研に入って、まだ新人だった頃、先輩のアパートでウイスキーを飲みながら、このアルバムを良く聴いた覚えがある。1曲目のDelilahの出だしにゾクゾクし、酒の勢いもあって、こんなジャズをやりたいと気持ちが高ぶった。その頃、学生が飲める酒は意外とウイスキーで、サントリーの「ホワイト」が定番だった。つまり、このアルバムを聴くと「ホワイト」を思い出してしまう。

1954年8月の3日間のセッション、55年2月の2日間のセッションで構成されるアルバムだが、参加メンバーは固定なので寄せ集めではない。ただし、54年セッションはアルバムIncorporated、55年セッションはアルバムStudy In Brownなどに分散されているので、このアルバムだけでクリフォード・ブラウンとマックス・ローチの双頭コンボを語ることはできない。ブラウンのトランペットにハマってしまったら、彼の数多くの演奏を聴き続けることで、その真髄に迫って行ける。やがて、濁りの全くない真っ白 ― ホワイトなジャズを手にするのだ。

1. Delilah
2. Parisian Thoroughfare
3. The Blues Walk
4. Daahoud
5. Joy Spring
6. Jordu
7. What Am I Here For

Clifford Brown - trumpet
Harold Land - tenor saxophone
Richie Powell - piano
George Morrow - bass
Max Roach - drums

Recorded on August 2 (tracks 1 & 2), 3 (track 6) & 6 (tracks 4 & 5), 1954 at Capitol Studios, Melrose Avenue, Los Angeles, CA.
Recorded on February 24 (tracks 3) & 25 (track 7), 1955 at Capitol Studios, NYC.

Clifford Brown / Pure Genius

ジャケットのイラストの下には、"PREVIOUSLY UNRELEASED PERFORMANCES FROM THE PRIVATE COLLECTION OF MRS. CLIFFORD BROWN"と記載されている。クリフォード・ブラウンの私生活を書いた雑誌記事に出会ったことはほとんどなく、ここにMRS.とあるので、結婚していたことを初めて知った。ブラウンが交通事故で即死したのは、このセッションから数か月後の1956年6月26日。結婚生活は数年、いや、もっと短かったのかも知れない。

さらに、ジャケットのタイトル下にはVOLUME ONEともある。ブラウンの奥さんが所有するプライベートテープの量から、続編を予定していたのだろうが、あまりにも音質が悪く断念したと思われる。現在のデジタル技術を駆使すれば、ある程度の復元は可能なはず。しかし、本作すらCD化されていないので、永遠に期待できない模様。82年の本作リリースから39年、ブラウン死去から65年。月日は流れてしまった。だが、ブラウンのトランペットは永遠にPUREなのだ。

1. I'll Remember April
2. What's New
3. Daahoud
4. Lover Man (Oh Where Can You Be)
5. 52nd Street Theme

Clifford Brown - trumpet
Sonny Rollins - tenor saxophone
Richie Powell - piano
George Morrow - bass
Max Roach - drums

Recorded in Early 1956 in NYC.

Clifford Brown / Raw Genius Vol.2

1956年6月26日、クリフォード・ブラウンは交通事故で即死。その車から放り出されたテープを音源にしてこのアルバムは作られた。音質も良くなく、演奏も中途半端に始まり終わる箇所が多数ある。しかし、この時代の熱気は十分に伝わってくる(ここまではVol.1にも書いた)。

ジャケット裏のマックス・ローチの解説によると、このテープは深夜から早朝に行われたジャムセッションを記録したものとある。Vol.1とVol.2に収められた5曲の中で最も長いのはI'll Remember Aprilの31分18秒。この長さから、明らかにレコード化前提のセッションでなかったことが分かる。そして、Complete 1955 Live at the Bee Hiveというタイトルで、2枚組CDが2004年9月にリリースされていることが判明。タイトルを変えられてしまうと、探し当てるのに手間が掛かるのだ。

1. Cherokee
2. Walkin'

Clifford Brown - trumpet
Sonny Rollins - tenor saxophone
Nicky Hill - tenor saxophone
Leo Blevins - guitar
Billy Wallace - piano
George Morrow - bass
Max Roach - drums

Recorded on November 7, 1955 at Bee Hive, Chicago.