Clifford Brown / Raw Genius Vol.1

1956年6月26日、クリフォード・ブラウンは交通事故で即死。その車から放り出されたテープを音源にしてこのアルバムは作られた。音質も良くなく、演奏も中途半端に始まり終わる箇所が多数ある。しかし、この時代の熱気は十分に伝わってくる。音質は度外視し、歴史的な音源としてCD化されるものと思っていたが、未だにその気配はない。もしかすると、何らかのボックスセットに組み込まれているかも知れないが…。

ジャケット裏に、1977年2月付けでのマックス・ローチの解説文があり、最後にはこう書かれていた。These never before released tapes come from my personal collection.(このテープは自分個人のコレクションで以前にリリースされたことはない)。日本ビクターがそのテープの販売権を獲得した訳だが、再発できない契約なのかもしれない。

1. I'll Remember April
2. Woody'n You
3. Hot House

Clifford Brown - trumpet
Sonny Rollins - tenor saxophone
Nicky Hill - tenor saxophone
Leo Blevins - guitar
Billy Wallace - piano
George Morrow - bass
Max Roach - drums

Recorded on November 7, 1955 at Bee Hive, Chicago.

Clifford Brown / Study In Brown

ジャズで「唄っているなぁ」と表現することがある。リズムとコード進行に対して、ためらいなく音が次々と出てくる感じ。リズムに乗ろうとか、コードに忠実になんて考えていると、曲はどんどん進んで行き、完全に乗り遅れてしまう。ブラウニー(クリフォード・ブラウンの愛称)は、アドリブの天才だった。1930年10月30日生れであるから、この時はまだ24歳。原曲をしっかり捉えて、自分のイメージを創り上げ、セッションでは全てを表現してきた。

そんなプレイヤーが自分の生れる半年前に交通事故で亡くなった。学生の時にブラウニーのLPを買い漁った。たしか、Emarcyの廉価版1,500円シリーズが出て、昼飯を我慢して大学生協に注文した記憶がある。そんなLPも傷だらけになり、ようやくCDを手に入れた。1曲目のチェロキーの出だしからドキドキである。そして、空腹だった学生時代の午後の授業が思い起こされる。

1. Cherokee
2. Jacqui
3. Swingin'
4. Lands End
5. George's Dilemma
6. Sandu
7. Gerkin' For Perkin'
8. If I Love Again
9. Take The "A" Train

Clifford Brown - trumpet
Harold Land - tenor saxophone
Richie Powell - piano
George Morrow - bass
Max Roach - drums

Recorded on February 23, 24 & 25, 1955 at Capitol Studios, NYC.

Clifford Brown / More Study In Brown

1983年に日本独自企画としてリリースされたアルバム。所有していたLPは児山紀芳氏がライナーノーツを担当。ジャケット裏面は英語、リーフレットには日本語で解説が書かれている。輸入盤CDは児山氏の英文解説をそのまま掲載。そのどれもが、4曲目Mildamaのセッションでのサックスをソニー・ロリンズとしているが、ハロルド・ランドの間違い。クリフォード・ブラウンのディスコグラフィーが未整備の時代だったので、致し方ないだろう。

1954年8月から56年2月までの6つのセッションから未発表テイクを集めたアルバム。どのセッションでも、ブラウンのスリリングなトランペットを堪能できる。残り物という感じが全くしない。そして、ふと思い出してしまった。小森のおばちゃまの「モア・ベターよ」。

1. I'll Remember April
2. Junior's Arrival
3. Flossie Lou
4. Mildama
5. Jordu
6. These Foolish Things
7. Land's End
8. The Blues Walk

Clifford Brown - trumpet
Sonny Rollins - tenor saxophone (tracks 1-3)
Harold Land - tenor saxophone (tracks 4-8)
Richie Powell - piano
George Morrow - base
Max Roach - drums

Tracks 1 & 3
Recorded on February 17, 1956.

Track 2
Recorded on January 4, 1956.

Tracks 4 & 6
Recorded on August 6, 1954.

Track 5
Recorded on August 3, 1954.

Track 7
Recorded on February 23, 1955.

Track 8
Recorded on February 24, 1955.