Charlie Haden / The Private Collection

2枚組CD。Disc1は1987年8月6日のヘイデン50歳誕生日記念コンサート。Disc2は1988年4月4日のウェブスター大学でのライブ演奏。ライナーノーツによると、当初は1994年に限定2200枚でイギリスのNaimレーベルから発売されたらしい。不思議である。ライブ演奏から数年経ってのリリース。それも、イギリスのマイナーレーベル。さらに、限定発売という形態。

アルバムタイトルから想像するに、そもそもヘイデンの許可なく勝手に録音した音源だったのだろう。逆に言えば、ヘイデンを含めステージに立ったミュージシャンはアルバム化のプレッシャーなく、そして演奏時間の制約もなく演奏に臨めたのではないか。結果として、非常に密度の濃いライブアルバムとなった。ジャケットには、それぞれのコンサートを録音してくれたこととCD化に対して、ヘイデンの謝意が述べられている。Disc1にはNardis、Disc2にはLonely Womanが収録されていることが、このアルバムの価値をさらに高めている。

Disc 1
1. Hermitage
2. Passport
3. Misery
4. Nardis
5. Segment
6. Farmer's Trust
7. Etudes

Disc 2
1. Bay City
2. Farmer's Trust
3. Lonely Woman
4. Silence
5. Body & Soul
6. Lisa

Ernie Watts - saxophones
Alan Broadbent - piano
Charlie Haden - bass
Billy Higgins - drums (disc 1)
Paul Motian - drums (disc 2)

Disc 1
Recorded on August 6, 1987 at "At My Place", Santa Monica, CA. / Charlie Haden 50th Birthday Concert

Disc 2
Recorded on April 4, 1988 at Webster University, St Louis.

Charlie Haden / The Ballad Of The Fallen

邦題『戦死者たちのバラッド』。チャーリー・ヘイデンは、ジャズ・ベーシストという枠に留まらず、現実を見つめながら音楽活動してきた数少ないジャズミュージシャンの一人。このアルバムは、明確なメッセージを持っている。以下は、LPでの悠雅彦氏のライナーノーツ(1983年10月2日付け)からの抜粋。

『現にエルサルバドルとニカラグア間の紛争が火種となって始まった中米の内戦が、超大国の思惑とも絡んで、罪もない一般市民の間に傷ましい悲劇の数々を生むに至っている。ヘイデンの目を射た1枚の絵〈ジャケット〉は、この中米紛争の犠牲となってマナグア(ニカラグアの首都)の避難民収容所での生活を余儀なくされたセリアという少女が画いたものだが、この少女はすでに紛争に陰に何があるかを確実に見抜いている。アメリカの干渉こそが元凶であり、アメリカの侵略がエルサルバドルをこえてニカラグアにまで及んでいる、と。絵の中に書き殴られた「私たちのたった1つの罪は、私たちが貧しいということです。レーガン大統領から送られてくる余りにも多量の弾丸に私たちはもううんざりしています」という少女の言葉』。

このアルバムが録音されてから37年近く経った今、本質的な意味では何も変わっていない。ヘイデンが世を去って、すでに5年になろうとしている今。

1. Els Segadors
2. The Ballad Of The Fallen
- If You Want To Write Me
- Grandola Vila Morena
- Introduction To People
- The People United Will Never Be Defeated
3. Silence
4. Too Late
5. La Pasionaria
6. La Santa Espina

Dewey Redman - tenor saxophone
Jim Pepper - flute, soprano saxophone, tenor saxophone
Steve Slagle - clarinet, flute, alto saxophone, soprano saxophone
Gary Valente - trombone
Michael Mantler - trumpet
Don Cherry - pocket trumpet
Sharon Freeman - French horn
Jack Jeffers - tuba
Carla Bley - piano, glockenspiel
Mick Goodrick - guitar
Charlie Haden - bass
Paul Motian - percussion, drums

Recorded in November 1982 at Tonstudio Bauer, Ludwigsburg, Germany.

Charlie Haden / Magico

LPは輸入盤中古を所有していたので、スイングジャーナルのアルバム評価程度の情報を頼りに聴いていた。最近購入したCDには帯が付き、こう書かれている。『アメリカ出身のチャーリー・ヘイデン、ノルウェー出身のヤン・ガルバレク、ブラジル出身のエグベルト・ジスモンチが、国境もジャンルも超えて綴る音のファンタジー。ヘイデンを代表する自作曲「サイレンス」の決定的名演も聴ける』。

そこで、所有するヘイデンのアルバムから「サイレンス」を録音順に抽出し聴いてみた。Magico(79年6月)、The Ballad Of The Fallen(82年11月)、The Private Collection(88年4月)、In Montreal(89年7月)。いずれも甲乙つけがたく、強いてあげればジスモンチとのデュオライブIn Montrealが、ヘイデンのベースの決定的名演ではないだろうか。なお、magicoとは、ポルトガル語で魔法使いのことらしい。魔法にかかってしまった如く時間が過ぎるのを忘れてしまう。

1. Bailarina
2. Magico
3. Silence
4. Spor
5. Palhaco

Charlie Haden - bass
Jan Garbarek - saxophones
Egberto Gismonti - guitars, piano

Recorded in June 1979 at Talent Studio, Oslo.