邦題『戦死者たちのバラッド』。チャーリー・ヘイデンは、ジャズ・ベーシストという枠に留まらず、現実を見つめながら音楽活動してきた数少ないジャズミュージシャンの一人。このアルバムは、明確なメッセージを持っている。以下は、LPでの悠雅彦氏のライナーノーツ(1983年10月2日付け)からの抜粋。
『現にエルサルバドルとニカラグア間の紛争が火種となって始まった中米の内戦が、超大国の思惑とも絡んで、罪もない一般市民の間に傷ましい悲劇の数々を生むに至っている。ヘイデンの目を射た1枚の絵〈ジャケット〉は、この中米紛争の犠牲となってマナグア(ニカラグアの首都)の避難民収容所での生活を余儀なくされたセリアという少女が画いたものだが、この少女はすでに紛争に陰に何があるかを確実に見抜いている。アメリカの干渉こそが元凶であり、アメリカの侵略がエルサルバドルをこえてニカラグアにまで及んでいる、と。絵の中に書き殴られた「私たちのたった1つの罪は、私たちが貧しいということです。レーガン大統領から送られてくる余りにも多量の弾丸に私たちはもううんざりしています」という少女の言葉』。
このアルバムが録音されてから37年近く経った今、本質的な意味では何も変わっていない。ヘイデンが世を去って、すでに5年になろうとしている今。
1. Els Segadors
2. The Ballad Of The Fallen
- If You Want To Write Me
- Grandola Vila Morena
- Introduction To People
- The People United Will Never Be Defeated
3. Silence
4. Too Late
5. La Pasionaria
6. La Santa Espina
Dewey Redman - tenor saxophone
Jim Pepper - flute, soprano saxophone, tenor saxophone
Steve Slagle - clarinet, flute, alto saxophone, soprano saxophone
Gary Valente - trombone
Michael Mantler - trumpet
Don Cherry - pocket trumpet
Sharon Freeman - French horn
Jack Jeffers - tuba
Carla Bley - piano, glockenspiel
Mick Goodrick - guitar
Charlie Haden - bass
Paul Motian - percussion, drums
Recorded in November 1982 at Tonstudio Bauer, Ludwigsburg, Germany.