スイングジャーナル 1963年4月号

表紙の解説に「最近インパルス・レコードはデューク・エリントンとジョン・コルトレーンの共演したLPを発表、ファンを驚かしている」とある。このアルバムは1962年9月録音。表紙としては、ほぼタイムリーなのだが、アルバムのジャケット写真をそのまま借用。別のツーショットは、入手できなかったということだろうか。

特報としての「セロニアス・モンク四重奏の来日確定か?」という記事が、この時代を象徴する内容なので、非常に興味深い。記事の最後はこう締め括られている。「ともあれ、1940年代のバップ黎明期から常にユニークでピュア―なピアノ演奏と作曲を続けてきたセロニアス・モンクの来日は、我国の戦後ジャズ界最大のイベントである」。戦後ジャズ界という言葉が通用していた時代。

スイングジャーナル 1962年5月号

かなりのジャズ通でも表紙の写真をJunior Cook(ジュニア・クック)と言い当てる人は、かなり少ないだろう。クックのリーダーアルバムは10枚に満たないので、名前は良く知っていても顔は知らないということだ。それ故に、クックを表紙に使ったのはクリーンヒットと言える。

本号では、マックス・ローチのアルバムWe Insist!を問題作の新譜として取り上げ、植草甚一氏がレビュー。邦題を『自由への祈り』としていることに時代を感じる。ローチに関連して、「マックス・ローチのドラミングを研究する(いソノてルヲ)」、「マックス・ローチの音楽的思想(蔡垂炳)」の2つの記事を掲載。クックは次号に回して、ローチを表紙に使っていればホームランだった1962年5月号。

スイングジャーナル 1962年4月号

スイングジャーナルは1947年に創刊。なんと昭和22年である。その少し前までは、ジャズは敵国音楽と言われていたに違いない。そんな時代にジャズ専門雑誌を創刊した人達に敬意を表したい。創刊から15年後の1962年。自分が所有するスイングジャーナルの最も古い号。表紙はジョン・ルイス。この時に小学校に入った。当然ながら、この号は学生時代、もしくは社会人になってから神田の古本屋で購入したもの。

特集記事に、「またコルトレーンが話しかける(植草甚一)」、「あなたもジャズマンになれる(司会:久保田二郎)」などがあり、非常に興味深い。時間があれば、半日楽しめる。その中でも最も参考になる記事は「ジャズ界に押し寄せる新しい波(久保田二郎)」で、「ドルフィーは新しいヒーローか?」とある。ドルフィーがベルリンで客死する2年前の事。