Billy Harper / Love On The Sudan

多くのジャズアルバムのジャケットは、ミュージシャンの表情を捉えている。このアルバムは、サックスを持った胸から下のビリー・ハーパーだ。サックスを持つごっつい両手が強調されていて、演奏内容を見事に表現している。録音はニューヨークであるものの、プロデューサーは小沢善雄氏。その他にも日本人スタッフが中心になって制作されたアルバム。ジャケットの写真撮影は内藤忠行氏。

70年代後半のジャズアルバム中で、傑出した一枚だと思っている。ハーパーはコルトレーンに近づいた男の一人。本作以降も重量感のあるアルバムをリリースした。しかしながら、本作に限って言えば、一時期にCDRでの発売があった模様だが、未だにCD化されず。LPも当然ながら廃盤状態。日本人制作のアルバムだけに、非常に残念である。

1. The Awakening
2. Priestess
3. Love On The Sudan

Billy Harper - tenor saxophone
Everett Hollins - trumpet
Mickey Tucker - piano
Gregg Maker - bass
Malcom Pinson- drums

Recorded on June 27, 29 & 30, 1977 at A & R Recording Studio, NYC.

Billy Harper / Black Saint

ディスクユニオンがレーベルDIW(ディスク・イン・ザ・ワールド)を立ち上げたのが1982年。そして、イタリアのブラック・セイント・レーベルのアルバムを輸入販売するようになった。このビリー・ハーパーのアルバム『ブラック・セイント』は、まさしくブラック・セイント・レーベルの第一弾。LPのライナーノーツは82年12月14日付けで悠雅彦氏が書いているので、購入したのは83年前半だったのだろう。

このアルバムの録音は75年7月。それから8年後に国内で聴くことができるようになった訳である。その頃、日本ではフュージョンが吹き荒れ、変化球ジャズの時代だった。そこへ、ハーパーの直球ジャズが登場。見事にハマってしまい、ハーパーを追いかけ始めた。今でも追いかけているが、リーダー作は73年から現在まで12枚と数少ない。ハーパーは納得できるアルバムしか作らないのだろう。彼の演奏スタイルから容易に想像できる。2016年にCD化されたことを最近知り、ようやく手に入れた。録音から44年経った今でも、目の覚めるような直球である。

1. Dance, Eternal Spirits, Dance!
2. Croquet Ballet
3. Call Of The Wild And Peaceful Heart

Billy Harper - tenor saxophone, cowbell
Virgil Jones - trumpet
Joe Bonner - piano
David Friesen - bass
Malcom Pinson - drums

Recorded on July 21 & 22,1975 at Barclay Studios, Paris.

Billy Harper / Capra Black

ビリー・ハーパーのデビュー作。LPのジャケット裏面に、ハーパー自身による曲紹介が掲載されていたが、LPを回すのに満足し翻訳してまで読む気にはならなかった。ようやく手に入れたCDでは、ライナーノーツにその翻訳が掲載され、今気づいた。ハーパーがデビュー作に賭ける思いがそこにあったのだ。タイトル曲Capra Blackは、Black Capricorn(黒い山羊座)を意味し、自分は1943年1月17日生まれの山羊座であると解説している。そして、4と5曲目に挿入されたボーカルは、聖歌にならって作ったそうだ。

なお、このアルバムは1973年10月にStrata East(ストラタ・イースト)レーベルからリリース。このレーベルは、黒人ミュージシャンによるスピリチュアル・ジャズを対象とし71年に設立。しかし、ミュージシャンとの経営的なトラブルが生じ、数年で崩壊してしまった。

1. Capra Black
2. Sir Galahad
3. New Breed
4. Soulfully, I Love You / Black Spiritual Of Love
5. Cry Of Hunger!

Billy Harper - tenor saxophone
Julian Priester, Dick Griffin - trombone
Jimmy Owen - trumpet
George Cables - piano
Reggie Workman - bass
Billy Cobham, Warren Smith, Elvin Jones - drums
Barbara Grant, Laveda Johnson, Gene McDaniels, Pat Robinson, Billy Harper - vocals

Released in October 1973.