Bob Brookmeyer / Bob Brookmeyer And Friends

プロデューサーのテオ・マセロが凄いメンバーを集め、しかも3日間かけて録音したアルバム。タイトルは『ボブ・ブルックマイヤーと友人たち』であるが、リーダーのブルックマイヤーの知名度が一番低い。2013年12月付けのライナーノーツでも原田和典氏がそう語っている。LPのときは8曲目までで、CD化で3曲が追加。その中にトニー・ベネットが歌ったDay Dreamが含まれている。ベネットの参加はこの1曲のみ。たまたま同じスタジオにいたので、友情参加だったのだろう。だが、不自然なのでベネットとのディスコグラフィーを調べてみた。

1964年5月25日、つまり本アルバムの録音の初日、スタン・ゲッツ、ハービー・ハンコック、ロン・カーター、エルビン・ジョーンズを従えてDanny Boyを吹き込んでいる。Day Dreamはなぜか見当たらない。さらに、同じメンバーで10月15日にも録音し(5月25日の説もあり)、タイトルTony Bennett, Stan Getz & Friendsでアルバムをリリース(廃盤状態)。つまり、マセロが凄いメンバーを集めたというのは、かなり怪しい。ブルックマイヤーのバルブトロンボーン、ゲッツのテナーサックスという音域の重なる楽器をフロントに配置したのも意図的とは思えない。疑問が残るアルバムではあるが、このメンバーなので演奏は申し分なし。

1. Jive Hoot
2. Misty
3. The Wrinkle
4. Bracket
5. Skylark
6. Sometime Ago
7. I've Grown Accustomed To Her Face
8. Who Cares?
9. Day Dream
10. Time For Two
11. Pretty Girl

Bob Brookmeyer - valve trombone
Stan Getz - tenor saxophone
Gary Burton - vibraphone
Herbie Hancock - piano
Ron Carter - bass
Elvin Jones - drums
Tony Bennett - vocals (track 9)

Recorded on May 25, 26 & 27, 1964 at 30th Street Studio, NYC.

Blue Mitchell / Blue's Moods

いやぁ、やっぱりジャズはいいもんだ。そんな気持ちになるのは、このアルバムのようにワンホーンだから。このフォーマットで、どんな表現ができるか。これが、ジャズの本質だと思っている。セッションの中心は管楽器1本にあって、ピアノトリオがそれをしっかりサポートするという形態。ビル・エバンスやキース・ジャレットによるピアノトリオは素晴らしい。だが、集中して聴くことでしか、その本質に迫れない。

ブルー・ミッチェルのような管楽器(トランペット)は、ふわっと心に染み入る。「沁みる」ではなく、「染み入る」にミッチェルの深さがある。ミッチェルの「青」が染み込んでくる感じだ。選曲よし、曲順よし、ジャケットもまずまずよし。ジャズ研時代、吸っている煙草を楽器に挟むのが流行った。ミッチェル作のKinda VagueやSir Johnも捨てがたい。そして、ずっと思っているのが、このJohnとは誰なのだろうか。

1. I'll Close My Eyes
2. Avars
3. Scrapple From The Apple
4. Kinda Vague
5. Sir John
6. When I Fall In Love
7. Sweet Pumpkin
8. I Wish I Knew

Blue Mitchell - trumpet, cornet
Wynton Kelly - piano
Sam Jones - bass
Roy Brooks - drums

Recorded on August 24 (tracks 5, 6 & 8) & 25 (tracks 1-4 & 7), 1960 at Plaza Sound Studios, NYC.

Blood, Sweat & Tears / Blood, Sweat & Tears

60年代後半を彩る輝かしいアルバム。ジャケットも心憎い。唯一の欠点と言えば、グループ名とアルバムタイトルを同じにしてしまったこと。ビー・エス・ティーと言った時にグループを指しているのか、このアルバムを語っているのか分からなくなる。彼らが日本通であったなら、サブタイトルに漢字で『血と汗と涙』と入れて欲しかった。CD化で2曲More And MoreとSmiling Phasesのライブ演奏が追加されている。

このアルバムと同時期に録音されたアルバムは、ビートルズのWhite Album、レッド・ツェッペリンのLed Zeppelin、マイルスのFilles De Kilimanjaro、キースのSomewhere Beforeなど。いずれも、録音から50年以上経った今でも色褪せないアルバムである。

1. Variations On A Theme By Erik Satie (1st and 2nd Movements)
2. Smiling Phases
3. Sometimes In Winter
4. More And More
5. And When I Die
6. God Bless The Child
7. Spinning Wheel
8. You've Made Me So Very Happy
9. Blues - Part II
10. Variations On A Theme By Erik Satie (1st Movement)
11. More And More
12. Smiling Phases

David Clayton-Thomas - lead vocals except as noted
Lew Soloff - trumpet, flugelhorn
Bobby Colomby - drums, percussion, vocals
Jim Fielder - bass
Dick Halligan - organ, piano, flute, trombone, vocals
Steve Katz - guitar, harmonica, vocals, lead vocals on "Sometimes In Winter"
Fred Lipsius - alto saxophone, piano
Chuck Winfield - trumpet, flugelhorn
Jerry Hyman - trombone, recorder

Tracks 1 - 10
Recorded on August 2 - October 22, 1968.

Tracks 11 & 12
Recorded on August 2, 1968 at The Cafe au Go-Go, NYC.