Bobby Timmons / This Here Is Bobby Timmons

ボビー・ティモンズ の初リーダーアルバム。ティモンズのディスコグラフィーを見ると、ケニー・ドーハムの1956年5月31日のカフェ・ボヘミアでのライブがレコード・デビュー。それから4年近く経って、ようやくリーダーの声が掛かったことになる。

ティモンズの作品は全9曲中の4曲(This Here, Moanin', Dat Dere, Joy Ride)。Moanin'はアート・ブレイキーの58年10月録音のアルバムMoanin'に、This Hereはキャノンボール・アダレイの59年10月録音のアルバムCannonball San Franciscoに収録されている。つまり、自分の作品をサイドマンとしてリーダーに提供してから、自前のピアノトリオでそれらの録音に臨んだことになる。遠慮深いと言うか、欲がないと言うか。牧師の息子ティモンズらしい。

1. This Here
2. Moanin'
3. Lush Life
4. The Party's Over
5. Prelude To A Kiss
6. Dat Dere
7. My Funny Valentine
8. Come Rain Or Come Shine
9. Joy Ride

Bobby Timmons - piano
Sam Jones - bass (except track 3)
Jimmy Cobb - drums (except track 3)

Recorded on January 13 & 14, 1960 at Reeves Sound Studios, NYC.

Bobby Hutcherson / Oblique

不思議なアルバム。1967年7月の録音で、プロデューサーはアルフレッド・ライオン。ところが、リリースされたのは1980年。所有する輸入盤ジャケット裏にはOriginally issued in 1980 as GXF-3061 in Japanという記載がある。なぜに、ライオンはリリースを躊躇したのか。そして、日本の誰が本作の音源を発掘したのか。以下は想像でしかない。

66年2月録音のアルバムHappeningsもライオンが手掛け、ベース以外は同じメンバー。つまり、本作はHappeningsを超えるハプニングを狙ったのだが、思い通りには行かずリリース後の酷評を恐れた。一方、本作のポイントはハービー・ハンコック作の3曲目Theme From Blow Upにある。67年公開の映画Blow Up(邦題:欲望)のテーマ曲。ハンコックがV.S.O.P.として70年代後半に来日した際、ボビー・ハッチャーソンと録音した自分の曲が埋もれている、と日本のレコード会社に漏らしたのではないだろうか。さて、真相は?

1. 'Til Then
2. My Joy
3. Theme From Blow Up
4. Subtle Neptune
5. Oblique
6. Bi-Sectional

Bobby Hutcherson - vibraphone
Herbie Hancock - piano
Albert Stinson - bass
Joe Chambers - drums

Recorded on July 21, 1967 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Bobby Hutcherson / Stick-Up!

前作Happeningsは1966年2月8日録音。それから5ヶ月後、メンバーを一新してボビー・ハッチャーソンは本作の録音に臨んだ。前作はハービー・ハンコックが持ち込んだMaiden Voyage以外、全てハッチャーソンの作品。そして、今回もオーネット・コールマン作Una Muy Bonitaを除いてハッチャーソン作である。この曲はアルバムChange Of The Centuryに収録されていて、そこではビリー・ヒギンスがドラムを叩いたので、彼が持ち込んだのだろう。

前作が空気を凍らせるような緊張感があったのに対し、本作はある種の躍動感を表現しようとしている。それが、アルバムタイトルとジャケットに示されているのだが、今一つ物足りない。それは、一曲一曲を作り込み過ぎてしまい、メンバーがスコアを追いかけているように感じるからだ。それにしても、そんな全6曲の録音を1日で終わせることができたと言うのは、この参加メンバーだからである。

1. Una Muy Bonita
2. 8/4 Beat
3. Summer Nights
4. Black Circle
5. Verse
6. Blues Mind Matter

Bobby Hutcherson - vibraphone
Joe Henderson - tenor saxophone (except track 3)
McCoy Tyner - piano
Herbie Lewis - bass
Billy Higgins - drums

Recorded on July 14, 1966 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.