Booker Ervin / Heavy!!!

2016年9月6日、外出先で午前中の仕事を終え、四谷のジャズ喫茶『いーぐる』でランチを食べた時に出会い、その日にAmazonで注文したアルバム。ジャズの本質とエネルギーがぎゅうぎゅうに詰まっている。それは、フロント3管の厚みによるところもあるが、むしろジャッキー・バイアードのピアノが適度な緊張感を醸し出しているのが大きな要因だ。タイトルをHeavyとし、ビックリマークを3つ付けたのに偽りはない。ライナーノーツで、久保田高司氏がブッカー・アーヴィンについて以下のように書いている。非常に参考になる。

「男性的でタフ。そして豪快なブッカーのプレイがテキサス・テナーの伝統を踏まえたものであることは事実だ。〈中略〉ブッカーのプレイには泥臭さがない。テキサス・テナーの伝統を知的あるいは洗練というフィルターで濾したとでも言えば、わかりやすいだろうか?とにかくブッカーのプレイはテキサス・テナーより出て、それを上回るスケールを誇っているのである」。

1. Bächafillen
2. You Don't Know What Love Is
3. Aluminum Baby
4. Not Quite That
5. Bei Mir Bist Du Schoen
6. Ode To Charlie Parker

Booker Ervin - tenor saxophone
Jimmy Owens - trumpet (tracks 3-6), flugelhorn (track 1)
Garnett Brown - trombone (tracks 1,3-6)
Jaki Byard - piano
Richard Davis - bass
Alan Dawson - drums

Recorded on September 9, 1966 at Impact Studios, NYC.

Booker Ervin / The Book Cooks

1曲目のBooker Ervin(ブッカー・アーヴィン)作The Blue Bookから見事な気だるさ。フロント3管、ピアノ、ベース、ドラム。どれもが気だるい。本作のプロデューサーはヴァイブ奏者でもあるTeddy Charles(テディ・チャールズ)。タイトル曲The Book Cooksはチャールズの作品。つまり、プロデューサーが自分の作品を提供し、それを強引にタイトルにしたということだ。

そういう訳で、3つのBookをとりまとめて、ジャケットには大きく"THE BOOK"と記載。これはタイトルではなく、表紙のようなもの。5曲目まで何となく気だるい雰囲気は続き、ラストのスタンダード曲Poor Butterflyで、ようやく解放される。だが、4分足らずで終わってしまい、悪い夢から醒めたような感じ。

1. The Blue Book
2. Git It
3. Little Jane
4. The Book Cooks
5. Largo
6. Poor Butterfly

Booker Ervin - tenor saxophone
Zoot Sims - tenor saxophone
Tommy Turrentine - trumpet
Tommy Flanagan - piano
George Tucker - bass
Dannie Richmond - drums

Recorded on April 6, 1960.

Bobby Timmons / In Person

ボビー・ティモンズの初リーダーアルバムThis Here Is Bobby Timmons収録曲の作曲者を調べていたとき、本アルバムの存在を知った。ビレッジ・バンガードでのライブで、1曲目の「枯葉」が独特のアレンジとあったので購入。確かにティモンズ流のブルージーな「枯葉」である。しかしながら、ライブアルバムとしては何となく違和感がある。それは、4曲目と10曲目にあるこのトリオのテーマ曲Dat Dereがフェイドアウトするからだ。

LPではDat Dereの演奏が入り切らず、と言ってもテーマ曲なので捨てることもできず、フェイドアウトさせて押し込んだのだろう。CD化で余裕が生まれたので、Dat Dereを丸ごと入れ、さらに5曲目のThey Didn't Believe Meも追加。ところが、LPでフェイドアウトしたDat Dereはそのまま残した。このことがライブの雰囲気を台無しにしている。Dat Dereの3曲は、拍手の入り方から全く同じ音源。つまり、実質8曲のライブアルバム。聴き直すと、拍手からスタートする「枯葉」も不自然。ライブの曲順を忠実に守る必要はないものの、アルバムタイトルIn Personの「生演奏」の意味合いが、「半生(はんなま)」という感じだ。

1. Autumn Leaves
2. So Tired
3. Goodbye
4. Dat Dere [theme]
5. They Didn't Believe Me
6. Dat Dere [full-length]
7. Popsy
8. I Didn't Know What Time It Was
9. Softly, As In A Morning Sunrise
10. Dat Dere [theme]

Bobby Timmons - piano
Ron Carter - bass
Albert Heath - drums

Recorded on October 1, 1961 at the Village Vanguard, NYC.