Bud Powell / A Portrait of Thelonious

かなり怪しいアルバム。所有していたLPのライナーノーツは佐藤秀樹氏が担当し、こう書いている。「最上のコンディション下で録音されている。それは、彼(パウエル)にとって、日頃馴れているトリオ・メンバーという条件もあるが、ナイト・クラブという雰囲気も加わって、よけいにリラックスした気分が感じられるのだろう」。つまり、LPは拍手が入ったライブアルバムだったのである。ところが、CD化によってジャケットにはStudio Charlot, Parisと記載され、拍手は取り除かれた。

プロデューサーは、なんとキャノンボール・アダレイ。アダレイのディスコグラフィーを見ると、本作の録音の2日前、このトリオにドン・バイアスと自身を含めたクインテットによって、パリの同じスタジオでセッションを行なっている。つまり、アダレイが本作のスタジオ録音に関わったことは事実であろう。ならば、なぜにライブを装ったのか。しかも、パウエルはモンクの作品を4曲しか演奏していない。タイトルが不適切とは言わないものの、的を射てはいない。そんな怪しいアルバムではあるが、後期パウエルのピアノを十分に堪能できる内容。さらに、録音の日付が、自分の誕生日でもあるのだ。

1. Off Minor
2. There Will Never Be Another You
3. Ruby, My Dear
4. No Name Blues
5. Thelonious
6. Monk's Mood
7. I Ain't Fooling
8. Squatty
9. Squatty [unissued alternate]

Bud Powell - piano
Pierre Michelot - bass
Kenny Clarke - drums

Recorded on 17 December 1961 at Studio Charlot, Paris.

Bud Powell / Alternate Takes

ライナーノーツに記載されたこのアルバムの紹介。「タイトル通りパウエルが残した別テイク未発表曲集で、このレコードによって初めて日の目をみたのはアルバムThe Scene Changesに収められていたComin' Upの別テイクとアルバムOur Man In Paris - Dexter Gordonのセッションで録音されていた未発表曲Like Someone In LoveおよびOur Love Is Here To Stayの計3曲。その他の8曲はそれまでに何らかの形で日の目を見ている」。

従って、3曲だけのために編成されたアルバム。アルバムの邦題サブタイトルは『知られざるバド・パウエル』で、逆に下品な感じにしてしまっている。しかも、ラストのラストのOur Love Is Here To Stayはデクスター・ゴードンが主役なので雰囲気ががらりと変わる。CD化はまったく期待できない感じだ。

1. Bouncing With Bud [alternate take 1]
2. Bouncing With Bud [alternate take 2]
3. Wail [alternate take]
4. Dance Of The Infidels [alternate take]
5. Reets And I [alternate take]
6. Collard Greens And Black-Eyed Peas [alternate take]
7. Blue Pearl [alternate take]
8. John's Abbey [alternate take]
9. Comin' Up [alternate take]
10. Like Someone In Love
11. Our Love Is Here To Stay

Tracks 1, 2, 3 & 4
Fats Navarro - trumpet / Sonny Rollins - tenor saxophone
Bud Powell - piano / Tommy Potter - bass / Roy Haynes -drums
Recorded on August 9, 1949 at WOR Studios, NYC.

Tracks 5 & 6
Bud Powell - piano / George Duvivier - bass / Art Taylor - drums
Recorded on August 14, 1953 at WOR Studios, NYC.

Track 7
Bud Powell - piano / Paul Chambers - bass / Art Taylor - drums
Recorded on August 3, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Track 8
Bud Powell - piano / Sam Jones - bass / Philly Joe Jones - drums
Recorded on May 24, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Track 9
Bud Powell - piano / Paul Chambers - bass / Art Taylor - drums
Recorded on December 29, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Tracks 10 & 11
Dexter Gordon - tenor saxophone (track 11)
Bud Powell - piano / Pierre Michelot - bass / Kenny Clarke - drums
Recorded on May 23, 1963 at CBS Studios, Paris.

Bud Powell / Bouncing With Bud

パウエルは1959年から64年までパリで生活した。このアルバムは、コペンハーゲンのカフェ・モンマルトルでの62年4月26日のライブ演奏(と思っていた)。国内盤LPのライナーノーツを読み直したところ、録音の日付しか記載されていない。しかし、輸入盤CDにはこのカフェでのライブ演奏としっかり書いてある。ところが、観客の声や拍手は全く聞こえてこないのだ。ちなみに、パウエルのディスコグラフィーには、カフェの記載はない。

ベースのペデルセンは、このとき16歳。パウエルとの共演はこの1枚のみである。2005年4月に58歳で他界したペデルセン。どこかで、このアルバムについて語っていないかとネットで調べたが出て来なかった。モンマルトルのWikipediaを見つけ、ライブリストがあったが、このアルバムは掲載されていなかった。躍動感ある演奏のアルバムなのだが、謎が残るアルバムでもある。

1. Rifftide
2. Bouncing With Bud
3. Move
4. The Best Thing For You
5. Straight, No Chaser
6. I Remember Clifford
7. Hot House
8. 52nd Street Theme

Bud Powell - piano
Niels-Henning Ørsted Pedersen - bass
William Schiopffe - drums

Recorded on April 26, 1962 at The Cafe Montmartre, Copenhagen Denmark.