Bud Powell / Blues In The Closet

バド・パウエルのアルバムを全て所有している訳ではないが、写真やイラストを含めてジャケットに女性が登場するのは本作だけだと思う。3曲目に収められたBlues In The Closetは、モダンベースの確立者オスカー・ペティフォードの作品。この曲をアルバムタイトルにし、それをイメージしたジャケットになっている。直訳すれば「密室のブルース」だが、「秘めたる青」と意訳できそうだ。というか、ジャケットからそんな感じを受ける。

収録された12曲も全体的にブルーな感じ。セッションを一日で終えているので、ピアノトリオの呼吸がぴったりと合ったのだろう。パウエルのディスコグラフィーを見ると、この日の録音は撮り直しが少ない。ちなみに、パウエルがヴァーヴに残したアルバムは計7枚。本作がその最後。契約を履行するため、さっさと録音を終わらせたのだろうか。そして、ジャケットの女性は誰なのか。どちらも謎のままである。

1. When I Fall In Love
2. My Heart Stood Still
3. Blues In The Closet
4. Swingin' Till The Girls Come Home
5. I Know That You Know
6. Elegy
7. Woody'n You
8. I Should Care
9. Now's The Time
10. I Didn't Know What Time It Was
11. Be-Bop
12. 52nd Street Theme

Bud Powell - piano
Ray Brown - bass
Osie Johnson - drums

Recorded on September 23, 1956 at Fine Sound Studios, New York.

Bud Powell / Piano Interpretations

このアルバムが、いわゆる「ジャケ買い」の対象になるのかわからないが、秀逸なジャケットであることは確か。バド・パウエルが1954年から56年にヴァーヴに残したアルバムは、正直言って躍動感に欠ける。しかし、聴き飛ばしてしまうとパウエルの真髄には迫れない。本作の正確なタイトルは、Piano Interpretations の後にby Bud Powellと続く。つまり、「パウエルによるピアノの解釈」。パウエルというジャズピアニストを一つの型にはめてしまわないように、と主張している気がするのだ。

ところで、ジャケットはイラストレーターDavid Stone Martin(デビッド・ストーン・マーティン)によるもの。この時期のパウエルの特徴をよく捉えている。ジャケット右半分のバックが黄色だが、ピンクのバージョンも存在している。マーティンは、最終的に400枚以上のアルバムのイラストを手掛けたそうだ。そして、パウエルのアルバムJazz Giantも彼の作品で、タイトルをうまく表現している。

1. Conception
2. East Of The Sun (And West Of The Moon)
3. Heart And Soul
4. Willow Groove
5. Crazy Rhythm
6. Willow Weep For Me
7. Bean And The Boys
8. Lady Bird
9. Stairway To The Stars

Bud Powell - piano
George Duvivier - bass
Art Taylor - drums

Recorded on April 25 & 27, 1955 at Fine Sound Studios, New York.

Bud Powell / Bud Powell '57

1954年12月から55年1月の録音。アルバムBud Powell's Moodsと録音時期が重なるので、この2枚は姉妹編の位置付け。CD帯から。「好不調の波を繰り返していた時期の凄まじいドキュメント。初期のような超絶的な神業は見られないが、円熟の美を感じさせる」。録音の時点で、バド・パウエルは30歳。他界したのは41歳。この時点で「円熟」と言ってよいのかどうか。

それよりも、55年内にリリースされたときのタイトルはJazz Originalだった。パウエルの作品が一切なく、スタンダード曲が中心だったからだろう。しかし、57年に再発した時、タイトルを「'57」と変えてしまったのだ。なぜに市場を混乱させることをしたのか。ジャズのアルバムでは、再発時にタイトルを変更することは良くあるが、このやり方は前代未聞。その当時、「Jazz Original」は登録商標されていたのかも知れない。もう65年前の出来事。

1. Deep Night
2. That Old Black Magic
3. 'Round Midnight
4. Thou Swell
5. Like Someone In Love
6. Someone To Watch Over Me
7. Lover Come Back To Me (Bean And The Boys)
8. Tenderly
9. How High The Moon

Tracks 1, 2, 3 & 5
Bud Powell - piano
Percy Heath - double bass (except 5)
Max Roach - drums (except 5)
Recorded on December 16, 1954 at Fine Sound Studios, New York.

Tracks 4, 6, 7 & 8
Bud Powell - piano
Lloyd Trotman – bass
Art Blakey – drums
Recorded on January 11, 1955 at Fine Sound Studios, New York.

Track 9
Bud Powell - piano
Lloyd Trotman – bass
Art Blakey – drums
Recorded on January 12, 1955 at Fine Sound Studios, New York.