Bill Evans / Interplay

何を主張しているのかさっぱり分からない不思議なイラストのジャケット。さらに、イラストの上には、アルバムの解説が書かれている。レコードやCDの帯に相当する部分。1962年7月録音で、63年6月リリースの本作。原文を下記に載せたが、そこには「偉大なジャズピアニスト」とある。エバンスが見事に開花したのは、59年8月リリースのマイルスのアルバムKind Of Blueだろう。それから、数年しか経っていないのに「偉大」とはちょっと大げさ。

さらには、「トリオではなく、エバンスが4人のメンバーとのインタープレイにより、注目すべきアルバムを創り上げた」と結んでいる。プロデューサーはオリン・キープニュース。ヘンテコなイラストと解説文で、何とか注目を浴びたいと言ういやらしさが伝わってくるアルバム。

For the first time, the great jazz pianist is heard in a new context - as leader of a group larger than his customary trio. Evans' interplay with four colleagues here - each of them one of Bill's personal favorites on his instrument - creates a most unusual and remarkable album.

1. You And The Night And The Music
2. When You Wish Upon A Star
3. I'll Never Smile Again [take 7]
4. I'll Never Smile Again [take 6]
5. Interplay
6. You Go To My Head
7. Wrap Your Troubles In Dreams

Freddie Hubbard - trumpet
Jim Hall - guitar
Bill Evans - piano
Percy Heath - bass
Philly Joe Jones - drums

Recorded on July 16, 1962 at Sound Makers Studio, NYC.

Bill Evans / How My Heart Sings!

1962年5月と6月の3回のセッションは、アルバムMoonbeamsとHow My Heart Sings!に分けられ、前者は62年12月、後者は64年1月にリリースされた。1年余りの期間を空けたのはリバーサイドの販売戦略だったのだろう。しかし、62年7月録音のリバーサイドのアルバムInterplayは63年6月リリース。となると、本作は、Moonbeamsから漏れた音源で構成したと考えるのが自然なのだ。

そして、Interplayの録音後に、エバンスはヴァーヴと契約。リバーサイドと契約した枚数分の録音をさっさと終わらせたかったのが、エバンスの本音だろう。だからこそ、3回のセッションで2枚分を録音したことになる。Bill Grauer(ビル・グラウアー)とOrrin Keepnews(オリン・キープニュース)が1953年に設立したリバーサイドは、グラウアーが1963年末に心臓発作で急死し、1964年夏に倒産。エバンスは絶妙なタイミングでリバーサイドを去ったことになる。

1. How My Heart Sings
2. I Should Care
3. In Your Own Sweet Way [take 1]
4. In Your Own Sweet Way [take 2]
5. Walkin' Up
6. Summertime
7. 34 Skidoo
8. Ev'rything I Love
9. Show-Type Tune

Bill Evans - piano
Chuck Israels - bass
Paul Motian - drums

Recorded on May 17 & 29 and June 5, 1962 at Sound Makers Studio, NYC.

Bill Evans / Moonbeams

1962年5月と6月の3回のセッションは、アルバムMoonbeamsとHow My Heart Singsに分けられリリースされた。これらのアルバムに関しては、ライナーノーツで次のように書かれている。「スコット・ラファロの1961年7月6日の事故死に動揺したビル・エバンスは演奏活動を休止し、新しいベーシストを迎えて演奏する気力を取り戻したのは、それから1年後のことだった」。

しかしながら、ハービー・マンに本作と同じチャック・イスラエルとポール・モチアンによるトリオを加えたアルバムNirvanaを61年12月に録音している。ラファロの死に精神的には落ち込んでいたのかも知れないが、決して演奏を1年間中止していた訳ではない。62年2月には、このトリオでバードランドでのライブアルバムThe Vibes Are On Bill Evans Trioも残しているのだ。エバンスというピアニストに対して、ジャズ評論家が勝手にイメージを作ってきたことが分かる。そういう背景を取り除いて本作を聴くと、何の変哲もないピアノトリオのアルバムなのだ。

1. Re: Person I Knew
2. Polka Dots And Moonbeams
3. I Fall In Love Too Easily
4. Stairway To The Stars
5. If You Could See Me Now
6. It Might As Well Be Spring
7. In Love In Vain
8. Very Early

Bill Evans - piano
Chuck Israels - bass
Paul Motian - drums

Recorded on May 17 & 29 and June 5, 1962 at Sound Makers Studio, NYC.