Art Blakey / At The Jazz Corner Of The World Vol.1

The Jazz Corner of The Worldとはジャズクラブ『バートランド』のこと。1954年2月21日録音のアルバムA Night At Birdlandとの混同を避けようとしたのだろう。A Night At Birdlandと同様にピー・ウィー・マーケットの司会から始まる。

この2つのアルバムを比較しても意味が無いのだが、ライブ全体の熱い雰囲気という点ではA Night At Birdlandに軍配が上がる。アート・ブレイキー以外のメンバーは全く異なるので仕方ないだろう。54年2月21日は日曜。本作録音の59年4月15日は水曜。この違いも影響しているかもしれない。ちなみに、2曲目のJusticeはモンクの作品で、曲名Evidenceと同様。モンクのアルバムMonk In Tokyoでは、Evidence (Justice)と記載されている。敢えて、モンクの名前を伏せた訳ではない。

1. Announcement by Marquette - Hipsippy Blues
2. Justice
3. The Theme
4. Announcement by Art Blakey - Close Your Eyes
5. Just Coolin'

Hank Mobley - tenor saxophone
Lee Morgan - trumpet
Bobby Timmons - piano
Jymie Merritt - bass
Art Blakey - drums
Pee Wee Marquette - announcer

Recorded on April 15, 1959 at Birdland, NYC.

Art Blakey / Complete Concert At Club Saint Germain

ジャズってこんなに熱い時代があったんだと、改めて気付かせてくれるアルバム。1958年12月21日、パリのクラブ『サンジェルマン』でのライブ。アート・ブレイキーを筆頭に、ベニー・ゴルソン、リー・モーガン、ボビー・ティモンズ、ジミー・メリットのメンバー。2枚組全12曲で2時間7分。

ラストのA Night In Tunisiaが圧巻。17分35秒の演奏。どういうハプニングがあったのか分からないが、ディスコグラフィーによると、ドラマーのケニー・クラークがこの曲に加わっている。クラークは、1956年9月からパリへ移住し、『サンジェルマン』との専属契約を果たしている。ブレイキーはクラブにいた先輩格のクラークに声を掛けたのだろう。だが、2つのドラムセットがセッティングされていたとは考えられない。ブレイキーのドラムソロのとき、コンガのような音が聴こえてくるのがクラークなのか。ちなみに1919年10月生まれのブレイキーより、クラークは5歳年上で1914年1月生まれ。二人とも71歳をわずかに過ぎて他界している。

Disc 1
1. Politely
2. Whisper Not
3. Now's The Time
4. The First Theme
5. Moanin' With Hazel
6. We Named It Justice (Evidence)

Disc 2
1. Blues March For Europe - Number One
2. Like Someone In Love
3. Along Came Manon
4. Out Of The Past
5. A Night In Tunisia
6. Ending With The Theme

Benny Golson - tenor saxophone
Lee Morgan - trumpet
Bobby Timmons - piano
Jymie Merritt - bass
Art Blakey - drums
Kenny Clarke - drums (disc 2 tracks 5,6)

Recorded on December 21, 1958 at The Club Saint-Germain, Paris.

Art Blakey / Moanin'

ジャズに全く馴染みのない人でも、「モーニン」のメロディーを知らない人はまずいないだろう。そして、ジャズに少しでも興味がある人は、「蕎麦屋の出前持ちまで口笛で〈モーニン〉を吹いていた」と、どこかで読んだことがあるに違いない。ジャズ・メッセンジャーズは1961年1月に初来日。その前の油井正一氏の発言である。ただし、この時点では58年10月録音の本作Moanin'は国内販売されていなかった。

しかし、58年12月録音のクラブ・サンジェルマンでのライブアルバムはすでに発売。その中にMoanin' With Hazelがある。With Hazelと付いたのは、会場にいた女性ピアニストHazel Scottが、ボビー・ティモンズのソロの途中にOh Lord have mercy!と叫んだから。このライブアルバムを注意深く聴くと、彼女の叫び声を聴き取ることができる。ということで、出前持ちが吹いた口笛には「おお主よ、憐れみを!」の意味が込められていた…そんなはずはない。

1. Moanin'
2. Moanin' [alternate take]
3. Are You Real
4. Along Came Betty
5. The Drum Thunder Suite
6. Blues March
7. Come Rain Or Come Shine

Benny Golson - tenor saxophone
Lee Morgan - trumpet
Bobby Timmons - piano
Jymie Merritt - bass
Art Blakey - drums

Recorded on October 30, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.