Art Ensemble Of Chicago / People In Sorrow

アルバムの日本語タイトルは『苦悩の人々』。パート1が17分8秒、パート2が23分6秒。タイトル通り、40分余り重苦しい響きが続く。

ジャケットも極めてシンプルながら、黒人の女性が右手を頬に付けてうつむき加減の眼差し。まるでジグソーパズルの1つのピースが置かれているようにも見えてくる。AEOCのメンバーが伝えたかったのは、黒人問題、貧困問題…。このピースが置き去りにされてしまったと主張しているのか。1969年当時の社会と照らし合わせれば、何かの回答が得られるかも知れない。なお、本作はフランスの Pathé-Marconi(パテ・マルコニ)というマイナーレーベルに録音したもので、CD化されていない。

1. People In Sorrow - Part 1
2. People In Sorrow - Part 2

Lester Bowie - trumpet, percussion instruments
Malachi Favors Maghostut - bass, percussion instruments, vocals
Joseph Jarman - saxophones, clarinets, percussion instruments
Roscoe Mitchell - saxophones, clarinets, flute, percussion instruments

Recorded on July 7, 1969 in Boulogne, Paris.

Art Ensemble Of Chicago / Tutankhamun

青木和富氏の1984年12月付けライナーノーツを読んで、初めて気が付いた。このアルバムTutankhamunは、前作のファーストアルバムA Jackson In Your Houseの録音から3日後の1969年6月26日に録音。そして、次作となるPeople In Sorrowは同年7月7日。つまり、2週間余りで3枚のアルバムを録音したことになる。しかも、単なるセッションではなく、それぞれが明確なコンセプトを持っている。

ツタンカーメン、第9号室、そしてCDで追加されたTthinitthedalen: Part 1 & Part 2の4曲構成。Tthinitthedalenはロスコー・ミッチェルとマラカイ・フェイヴァースによる合作。造語だと思うが、何と発音するのだろう。第9号室とTthinitthedalenはツタンカーメンと何らかの関係がありそうだが、LPとCDの英文ライナーノーツには一切の記載がない。謎の『ツタンカーメン』である。

1. Tutankhamun
2. The Ninth Room
3. Tthinitthedalen: Part 1
4. Tthinitthedalen: Part 2

Lester Bowie - trumpet, percussion instruments
Malachi Favors Maghostut - bass, percussion instruments, vocals
Joseph Jarman - saxophones, clarinets, percussion instruments
Roscoe Mitchell - saxophones, clarinets, flute, percussion instruments

Recorded on June 26, 1969 in Paris.

Art Ensemble Of Chicago / A Jackson In Your House

Art Ensemble Of Chicagoのファーストアルバム。様々な音楽要素が詰まっていて、ブルースであったり、時にはデキシーランドであったり。詩も語られ実験的要素が強い。というか、彼等は実験を繰り返しながら、そのプロセスをアルバムに残していったと言える。ある意味ではジャズらしい取り組み。

ジャケット裏にはこう記載されている。"This album is given in the honor and memory of the beautiful spirit to us as Charles Clark (March 11, 1945 - April 15, 1969)." Wikipediaで調べたところ、クラークはウッドベース奏者。60年代後半にジョセフ・ジャーマンとライブ演奏を行っていたらしい。24歳で亡くなっているが、その死因は記載されていなかった。なお、CD化でトラック6から9までの4曲が加わり、トータルの演奏時間は74分と倍以上になった。

1. A Jackson In Your House
2. Get In Line
3. The Waltz
4. Ericka
5. Song For Charles
6. Old Time Religion
7. Dexterity
8. Rock Out
9. A Brain For The Seine

Lester Bowie - trumpet, percussion instruments
Malachi Favors Maghostut - bass, percussion instruments, vocals
Joseph Jarman - saxophones, clarinets, percussion instruments
Roscoe Mitchell - saxophones, clarinets, flute, percussion instruments

Tracks 1 - 5
Recorded on June 23, 1969 at Studios Davout, Paris.

Tracks 6 - 9
Recorded on August 12, 1969 at Studios Davout, Paris.