Art Ensemble Of Chicago / The Third Decade

所有していたLPは輸入盤でライナーノーツはなく、タイトルThe Third Decadeの意味するところを知らなかった。最近購入したCDでは、自分と同世代の熊谷美広(くまがい よしひろ)氏が、AEOC(アート・アンサンブル・オブ・シカゴ)が足掛け3回目のディケイド10年に突入したことを示した作品と解説している。AEOCのメンバーには、こんなに長く続くグループとは思っていなかったということだろうか。

AEOCの聴き方には、一つの作法があるように思う。ブルース、あるいはブルーノート・スケールを基調としたジャズを聴く構えだと、肩透かしを食らってしまう。では、いわゆるフリージャズなのかと言うと、そんなことは決してない。非常に計算された音作りを彼等はやっている。ブラックミュージックと呼ばれるほど、人種に固執した感じもない。ワールドミュージックなのかと言われると、様々なカテゴリーを包括しているとも思えない。あらゆる楽器を使いこなすAEOCミュージックとしか言いようがないのだ。

1. Prayer For Jimbo Kwesi
2. Funky AEOC
3. Walking In The Moonlight
4. The Bell Piece
5. Zero
6. Third Decade

Lester Bowie - trumpet, fluegelhorn
Malachi Favors Maghostut - bass, percussion instruments
Joseph Jarman - saxophones, clarinets, percussion instruments, synthesizer
Roscoe Mitchell - saxophones, clarinets, flute, percussion instruments
Don Moye - drums, percussion

Recorded in June 1984 in Ludwigsburg, Germany.

Art Ensemble Of Chicago / Live In Japan

もう37年前の出来事。1984年4月22日(日)。五反田簡易保険ホール。圧倒的であったことを今でも思い出せる。ジャズという音楽の懐の深さ。「混沌」を視覚的要素で、内ではなく外に向けている。いや、それは表現する「喜び」なのだろう。この時の日本公演は、山形から始まり、東京、横浜、大阪、札幌と廻って、弘前までの7回のコンサートだったようだ。幸運にも自分が足を運んだライブがアルバムになった。

自分が撮った写真を改めて見ると、舞台所狭しと楽器が並び、しかもそれらが装飾されている。メンバーの出で立ちは好き勝手。この統一感がありそうで、そうでもない様態がArt Ensemble Of Chicagoの底力だと強く感じる。この日のライブ演奏を完璧に捉えた2枚組CDを発見したが、完全に廃盤状態。いやぁ、残念。

1. Ornedaruth
2. The Waltz
3. Ol' Time Southside Street Dance
4. Zero
5. Odwalla / Theme

Lester Bowie - trumpet, bass drum
Malachi Favors Maghostut - bass, percussion instruments
Joseph Jarma - saxophones, clarinets, percussion instruments
Roscoe Mitchell - saxophones, clarinets, flute, percussion instruments
Don Moye - drums, percussion

Recorded on April 22, 1984 at Kanihoken Hall, Gotanda, Tokyo.

Art Ensemble Of Chicago / Urban Bushmen

AEOC - Art Ensemble Of Chicagoは、一般的にはフリージャズに分類される。しかし、このアルバムを聴くと、綿密に構成された構造的フリーなのだ。「構造的」と「フリー」は、相容れない関係ではあるものの、その関係を詰め込んだ彼らの音楽をどうカテゴライズするかは、どうでもいい話になってくる。つまり、AEOCという音楽ジャンルというのが答え。

アルバムUrban Bushmanは、ミュンヘンでの2日間のライブを2枚組LPおよびCDにまとめたもの。「音楽」を聴かせるのではなく、「興業」を魅せる集団。1984年4月、五反田の簡易保険ホールで彼らのパフォーマンスを観た時にそう感じた。もう36年前のことである。見開きのLPジャケットには、ライブの写真がちりばめられている(CDも同じ装丁だが写真が小さすぎる)。それらを貼り合わせてみたところ、ライブの雰囲気が伝わって来た。

Disc 1
1. Promenade: Cote Bamako I
2. Bush Magic
3. Urban Magic:
March / Warm Night Blues Stroll / Down the Walkway / RM Express
4. Sun Precondition Two - Theme For Sco:
Soweto Messenger / Bushman Triumphant / Entering the City / Announcement of Victory

Disc 2
1. New York Is Full Of Lonely People
2. Ancestral Meditation
3. Uncle
4. Peter And Judith
5. Promenade: Cote Bamako II
6. Odwalla / Theme

Lester Bowie - trumpet, bass drum, long horn, vocals
Malachi Favors Maghostut - bass, percussion, melodica, vocals
Joseph Jarman - saxophones, vocals, clarinets, bassoon, flutes, percussion
Roscoe Mitchell - saxophones, flute, percussion, clarinet, vocals
Don Moye - sun percussion, vocals

Recorded on May 5 & 6, 1980 at Amerika Haus, Munich.