Art Pepper / Surf Ride

青木和富氏のライナーノーツによると、アート・ペッパーの初リーダーセッションを収めたアルバムとある。ペッパーのディスコグラフィーを詳しく見ると、1952年3月4日のスタジオ録音に先駆けて、同メンバーで同年2月12日にハリウッドSurf Clubでのライブ演奏がアルバム化されている。しかし、レーベルはXanaduで完璧に廃盤のようだ。

本アルバムは初リーダーセッションではないものの、ペッパーの初期の演奏を収録したことは間違いない。ただし、3つのセッションを収めていて、録音は52年3月、53年3月、54年8月。アルバムを作るために録音された訳ではなく、セッションを寄せ集めたアルバム。全12曲の半分を占める54年8月の録音が、やはり一歩も二歩も抜き出ている。そして、タイトルをSurf Rideとしたのは、ハリウッドのクラブ名Surf Clubから拝借したのだろう。だとすれば、ジャケットは何とも後付け的な感じなのだ。

1. Tickle Toe
2. Chili Pepper
3. Susie The Poodle
4. Brown Gold
5. Holiday Flight
6. Surf Ride
7. Straight Life
8. The Way You Look Tonight
9. Cinnamon
10. Nutmeg
11. Thyme Time
12. Art's Oregano

Tracks 1 - 3
Art Pepper - alto saxophone
Russ Freeman - piano
Bob Whitlock - bass
Bobby White - drums
Recorded on March 29, 1953 in Los Angeles, CA.

Tracks 4 - 6
Art Pepper - alto saxophone
Hampton Hawes - piano
Joe Mondragon - bass
Larry Bunker - drums
Recorded on March 4, 1952 in Los Angeles, CA.

Tracks 7 - 12
Art Pepper - alto saxophone
Jack Montrose - tenor saxophone
Claude Williamson - piano
Monty Budwig - bass
Larry Bunker - drums
Recorded on August 25, 1954 in Los Angeles, CA.

Art Farmer / What Happens

1968年、フィル・ウッズはパリへ、そしてアート・ファーマーはウィーンへ渡り、ヨーロッパで活動を始めた。言葉は悪いが、いわば出稼ぎである。この当時、ジャズを生み出したアメリカでは、ジャズミュージシャンは満足に食えなかったことを物語っている。このアルバムは、二人が渡欧後すぐに行われたローマでのセッション。十分に熱い演奏であるのだが、ライブだったらもっと燃えたのではないだろうか。しかしながら、手元の資料では二人の共演はその後実現しなかったようだ。

お目当ては3曲目の「ブルー・ボッサ」。大学のジャズ研のときによく練習した曲。ところが、ジャズマンの演奏は意外に少なく、所有するアルバムでは、ジョー・ヘンダーソン、デクスター・ゴードン、トミー・フラナガン、ミッシェル・カミロ、そして、このアート・ファーマー&フィル・ウッズによる5枚。学生でも手を出せる曲なので、プロは遠慮するということなのだろうか。

1. Watch What Happens
2. Chelsea Bridge
3. Blue Bossa
4. Blue Lights
5. The Day After
6. Sunrise Sunset

Art Farmer - flugelhorn
Phil Woods - alto saxophone
Martial Solal - piano
Henry Texier - bass
Danniel Humair - drums

Recorded on October 12, 1968 in Rome.

Art Farmer / Sing Me Softly Of The Blues

アート・ファーマー、スティーヴ・キューン、スティーヴ・スワロー、ピート・ラロカという編成で、アルバム名義はファーマー。だが、内容的にはラロカ色が強い。トラック1と2がカーラ・ブレイ、4と6がラロカの作品。いずれも不思議な感覚を持っていて、ファーマーが消化し切れていない感じだ。むしろ、キューンのピアノが鋭く迫ってくる。

このアルバムの2ヶ月後、ラロカはアルバムBasraを録音。メンバーはファーマーに替わってジョー・ヘンダーソン。ピアノとベースは替わらず。リーダーがドラマーのジャズアルバムの中では、最高峰と思っている。では、このアルバムがラロカ名義だとしたら。残念ながら、Basraよりランクは落ちる。その理由は、フリューゲルホーンの音色が他の3人に比べて弱いこと。そして、ジャケットを安易にタイトル曲に合わせてしまったこと。

1. Sing Me Softly Of The Blues
2. Ad Infinitum
3. Petite Belle
4. Tears
5. I Waited For You
6. One For Majid

Art Farmer - flugelhorn
Steve Kuhn - piano
Steve Swallow - bass
Pete La Roca - drums

Recorded on March 12, 16 & 30, 1965 in NYC.