Art Blakey / Live At The 1972 Monterey Jazz Festival

モンタレー・ジャズ・フェスティバル・レコードが2007年に設立された。そして、1963年のマイルスのライブを筆頭にして、次々と過去の音源をリリースしていった。本作は、「ジャイアンツ・オブ・ジャズ」と称したユニットの72年9月のライブ。特にリーダーはいないが、アルバムは、Art Blakey and The Giants of Jazzとして、アート・ブレイキーをリーダー的位置付けにしている。そのことに異論はないが、参加メンバーにモンクがいることが最大の注目である。

モンクは、71年11月にロンドンで録音を行い、アルバムComplete Last Recordings: The London Collectionを残した。これが、モンク名義のラストアルバムである。モンクのディスコグラフィーを見ると、その後に参加したアルバムは2枚。その中の1枚が本作。もう一枚は、72年11月の「ジャイアンツ・オブ・ジャズ」のヨーロッパツアーを記録した国内盤LPがあるが、CD化されず廃盤状態。それ以外にも、海賊盤的なツアーの放送音源もあるようだ。

つまり、現時点で容易に入手できるモンクの最終音源を収録したアルバムなのである。せめて、ジャケットには、ブレイキーと共にモンクの写真も入れて欲しかった。

1. Introduction by Jimmy Lyons
2. Blue 'N' Boogie
3. 'Round Midnight
4. Perdido
5. Stardust
6. Lover Man
7. I Can't Get Started (With You)
8. The Man I Love
9. A Night In Tunisia

Sonny Stitt - alto saxophone, tenor saxophone
Kai Winding - trombone
Roy Eldridge - trumpet
Clark Terry - flugelhorn, trumpet
Thelonious Monk - piano
Al McKibbon - base
Art Blakey - drums

Recorded on September 16, 1972, at the Monterey Jazz Festival.

Art Blakey / Album Of The Year

1980年代に入り、アート・ブレイキー率いるジャズ・メッセンジャーズの役割は終えてしまった。メンバーは入れ替わっていき、若手の登竜門的な位置付けにあったグループであるが、ジャズの新たな方向性を示すことはできなかった。このアルバムでも、演奏の完成度は非常に高いが、80年代と言う視点では何も新しさを感じない。ましてや、ベースの響きに重さがないため、全体に浮ついた感じになっている。

80年代に入り、さすがのブレイキーにもブレーキが掛かってしまったアルバム。ウィントン・マルサリスの参加が大事なポイントと言われているが、それは後付け的な話で論点になるとは思えない。厳しい指摘になるが、メッセージを送れなくなったメッセンジャーズを認識する上では価値あるアルバム。ちなみに、LPでリリースされたときは、1981年4月のみのセッションで、CD化で82年5月のセッション2曲が加わった模様。その2曲をトラックの初めに配置したため、アルバムタイトルとの相違が生じてしまった。

1. Oh By The Way
2. Duck Soup
3. Cheryl
4. Ms. B.C.
5. In Case You Missed It
6. Little Man
7. Witch Hunt
8. Soulful Mister Timmons

Tracks 1 & 2
Bill Pierce - tenor saxophone
Donald Harrison - alto saxophone
Terence Blanchard - trumpet
Johnny O'Neal - piano
Charles Fambrough - bass
Art Blakey - drums
Recorded on May 20, 1982 at Davout Studios, Paris.

Tracks 3 - 8
Bill Pierce - tenor saxophone
Robert Watson - alt saxophone
Wynton Marsalis - trumpet
James Williams - piano
Charles Fambrough - bass
Art Blakey - drums
Recorded on April 12, 1981 at Davout Studios, Paris.

Art Blakey / Buttercorn Lady

CD帯から。「当時20歳のキース・ジャレットを抜擢した、ジャズ・メッセンジャーズの白熱のライブ。早世したテナー奏者フランク・ミッチェルを含め、全員の若さあふれる演奏が魅力」。このミッチェルは、1976年版「世界ジャズ人名辞典」に掲載されていないものの、Wikipediaから断片的な情報を得ることができた。1945年生まれで、71年に27歳で殺害されたとあった。そして、「全員の若さあふれる」とあるが、御大アート・ブレイキーは、このライブの時点で46歳。それよりも、チャック・マンジョーネの作品でタイトル曲Buttercorn Ladyとは、どういう女性を意味しているのだろう。ジャケットと関連がありそうなのだが。

ブレイキーのディスコグラフィーを調べると、キースがメッセンジャーズに参画したのはこのアルバムだけ。そういう事実を知って聴くと、なんとなく理解できる。キースはブレイキーから声が掛かってライブ出演したものの、自分の居場所はないと感じたはずだ。翌67年5月には、自分名義の初アルバムLife Between The Exit Signsを録音している。つまり、ライブとしては成功した印象を受けるアルバムであるが、メンバーはご祝儀をもらいに来るのが目的だった。66年1月1日と9日のライブなのである。

1. Buttercorn Lady
2. Recuerdo
3. The Theme
4. Between Races
5. My Romance
6. Secret Love

Frank Mitchell - tenor saxophone
Chuck Mangione - trumpet
Keith Jarrett - piano
Reggie Johnson - bass
Art Blakey - drums

Recorded on January 1 & 9, 1966 at The Lighthouse, Hermosa Beach, CA.