Art Blakey / Ugetsu

所有する輸入盤CDの裏面には、本作のプロデューサーであるオリン・キープニュースのライナーノーツが記載されている。しかし、あまりにも小さい字なので、ほとんど判別不明。Wikipediaで調べたところ、「このライブの数か月前、日本ツアーがあった。そして、日本へのオマージュとして、2つのトラックUgetsuとOn The Ginzaをバードランドで演奏した」とあった。Ugetsuはシダー・ウォルトン、On The Ginzaはウェイン・ショーターの作品だが、命名はアート・ブレイキーのような気がする。小さいながら、Art explains, that's Japanese for "fantasy".という箇所を見つけたからである。

更なる情報を探すため、ブレイキーのディスコグラフィーを参照。このライブの翌月、ジャズ・メッセンジャーズとは全く異なるメンバーでスタジオ録音していることが判明。混乱させるようなA Jazz Messageというタイトルである。こちらのアルバムには、日本にちなんだ曲名は見つからなかった。さて、バードランドでのライブアルバムに収録された全10曲は、いずれも名演である。しかしながら、観客の盛り上がりがイマイチ。ジャケットの写真もピンボケ。Fantasy(幻想)をイメージしたとは思えないのだが。

1. One By One
2. Ugetsu
3. Time Off
4. Ping-Pong
5. I Didn't Know What Time It Was
6. On The Ginza
7. Eva
8. The High Priest
9. Conception
10. The Theme

Wayne Shorter - tenor saxophone
Freddie Hubbard - trumpet
Curtis Fuller - trombone
Cedar Walton - piano
Reggie Workman - double bass
Art Blakey - drums

Recorded on June 16, 1963 at Birdland, NYC.

Art Blakey / Free For All

1964年2月録音。時代はモードへの移行期を迎えていた。同月、マイルスはアルバムFour & Moreをライブ録音。そして、9月録音のMiles In Berlinからウェイン・ショーターが参加している。ファンキーが代名詞だったジャズ・メッセンジャーズも、モードを意識せざるを得なくなった。

結果的に、アート・ブレイキーが前面に出過ぎることはできず、フロント3管の厚みが際立っている。このアルバムのWikipediaによると、ショーター作のFree For Allの元のタイトルはFree Fall(自由落下)だったらしい。そして、フレディ・ハバードの作品The Coreは、CORE - Congress of Racial Equality(人種平等会議)を意味しているとのこと。ブレイキーではなく、メンバーが主張を始めたとも言える。

1. Free For All
2. Hammer Head
3. The Core
4. Pensativa

Wayne Shorter - tenor saxophone
Freddie Hubbard - trumpet
Curtis Fuller - trombone
Cedar Walton - piano
Reggie Workman - bass
Art Blakey - drums

Recorded on February 10, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Art Blakey / 3 Blind Mice

スタジオ録音である1961年10月の前々作Mosaic、11月の前作Buhaina's Delightに続き、62年3月のハリウッドでのライブ録音。この3つのアルバムはフロント3管による全く同じメンバーでありながら、重複する曲はMosaicと本作に収録されたウェイン・ショーター作Children Of The Nightだけである。つまり、位置づけとしては前2作のライブ盤になるが、単にスタジオをライブに持ち込んだ訳ではない。

前2作のレーベルはBlue Noteで、プロデューサーはアルフレッド・ライオン。本作では、レーベルがUnited Artists Recordsに変わっている。ライオンには、このメンバーでのライブ盤を作る構想はなかったのだ。それに反発したアート・ブレイキーが、メッセンジャーズにとって可能な限り新しい曲を準備してライブに臨んだと考えたい。そう想像すると、ジャケットのブレイキーの表情は怒りを表していると思えてくる。

1. Three Blind Mice
2. Blue Moon
3. That Old Feeling
4. Plexis
5. Up Jumped Spring
6. When Lights Are Low
7. Children Of The Night
8. Up Jumped Spring [alternate take]

Wayne Shorter - tenor saxophone
Freddie Hubbard - trumpet
Curtis Fuller - trombone
Cedar Walton - piano
Jymie Merritt - bass
Art Blakey - drums

Recorded on March 18, 1962 at The Renaissance, Hollywood, CA.