Albert Ayler / Ghosts

アルバート・アイラーの代表作Spiritual Unityから2か月後の1964年9月、コペンハーゲンでの録音。ゲイリー・ピーコック、サニー・マレーに加えてドン・チェリーが参加している。Spiritual UnityではGhostsを2つのバージョンで録音したが、本作でも同様の形式をとっている。従って、本作はSpiritual Unityの続編と位置付けることができるのだが、チェリーの参加がアイラーに新たな刺激を与えたとは思えない。それは、この録音の時点ではチェリーが自己スタイルをまだ確立していないからだ。

LPのライナーノーツでは、忍沢成一氏が、本アルバムの聴き方として、一曲一曲を個々に聴くのではなく、全体をひとつの組曲的に聴くのが妥当ではないかと語っている(1984年12月付け)。一つの意見だと思う。では、アイラー達が組曲的な意識を持って録音に臨んだのだろうか。やはり、Ghostsを深化させることにポイントがあったはずだ。

1. Ghosts
2. Children
3. Holy Spirit
4. Ghosts
5. Vibrations
6. Mothers

Albert Ayler - tenor saxophone
Don Cherry - cornet
Gary Peacock - bass
Sunny Murray - drums

Recorded on September 14, 1964 in Copenhagen, Denmark.

Albert Ayler / New York Eye And Ear Control

サントラ盤。しかし、いきなりの咆哮で開始。ベースとドラムに対して4管のフロント。演奏が進んでいっても、主導権が誰にあるのかは不明。フリージャズとは言え、ベースが全体を支配するのが不文律であるが、その気配すら感じない。では、「よーいドン」でスタートして、この6人の目指すゴールはどこなのだろう。そんな浮遊感が漂う音空間。

実験的ではなく、実験ジャズ。それを記録に残したことに価値があって、実験としては「失敗」であったと言わざるを得ない。なぜなら、このアルバムに収録された3曲を、アルバート・アイラーは2度と演奏していないのだ。まぁ、サントラ盤であるし、完全即興演奏だろうから再演はあり得ないな。

1. Don's Dawn
2. A Y
3. ITT

Albert Ayler - tenor saxophone
Don Cherry - trumpet, cornet
Roswell Rudd - trombone
John Tchicai - alto saxophone
Gary Peacock - bass
Sunny Murray - drums

Recorded on July 17, 1964 in NYC.

Albert Ayler / Spiritual Unity

アルバート・アイラー、ゲイリー・ピーコック、サニー・マレーのトリオによる最初の記録は、1964年6月14日のニューヨークのセラー・カフェでのライブ演奏。アルバムProphecyとしてリリース。翌月の7月10日は、ライブより1曲少ないが同じ曲をスタジオで録音した。ライブで十分な手ごたえがあったからなのだろう。ProphecyとSpiritual Unityを順に聴くと、トリオの密度は高まっていることが分かる。ライブとスタジオの違いもあるのだろう。

CDが届いた時には驚いた。ラベル面がほぼ鏡面で、黒く「Y」の文字だけ。ジャケットの裏面にはこう書かれている。The symbol "Y" predates recorded history and represents the rising spirit of man.(シンボル「Y」は、記録された歴史の前からあり、人間の上昇する精神を示している)。何年も前に放出してしまったLPのラベルも「Y」の文字だけだったのか。写真を撮っておけばよかった。

1. Ghosts: First Variation
2. The Wizard
3. Spirits
4. Ghosts: Second Variation

Albert Ayler - tenor saxophone
Gary Peacock - bass
Sunny Murray - drums

Recorded on July 10, 1964 at The Variety Arts Recording Studio, NYC.