Bill Evans / New Jazz Conceptions & Everybody Digs Bill Evans

1956年9月録音のビル・エバンスの初リーダーアルバムNew Jazz Conceptionsと、58年12月録音のリーダー第二作Everybody Digs Bill Evansをカップリングした2枚組CD。2013年10月に送料込み670円で購入。売れない音源のたたき売りのようなものだ。Wikipediaによると、第一作は最初の1年で800枚しか売れなかったらしい。プロデューサーのオリン・キープニュースは頭を抱えたに違いない。2年後にリベンジを図るべく第二作に臨んだ。ジャズの新しい概念なんてどうでもよく、誰もがエバンスを探求していると方針を変えたが、第二作の売れ行きは不明。

それから4か月後の59年3月、マイルスのアルバムKind Of Blueでエバンスは見事に開花。プロデューサーはテオ・マセロ。キープニュースはまたもや頭を抱えたはずだ。そしてついに、アルバムPortrait In JazzからWaltz For Debbyまでの4部作で、満塁ホームラン4点を稼ぎ出した。

Disc 1 - New Jazz Conceptions
1. I Love You
2. Five
3. I Got It Bad (And That Ain't Good)
4. Conception
5. Easy Living
6. Displacement
7. Speak Low
8. Waltz For Debby
9. Our Delight
10. My Romance

Tracks 3, 8 & 10
Bill Evans - piano
Recorded on September 18, 1956 at Reeves Sound Studios, NYC.

Tracks 1, 2, 4 - 7 & 9
Bill Evans - piano
Teddy Kotick - bass
Paul Motian - drums
Recorded on September 27, 1956 at Reeves Sound Studios, NYC.

Disc 2 - Everybody Digs Bill Evans
1. Minority
2. Young And Foolish
3. Lucky To Be Me
4. Night And Day
5. Epilogue
6. Tenderly
7. Peace Piece
8. What Is There To Say?
9. Oleo

Bill Evans - piano
Sam Jones - bass (except tracks 3,5,7)
Philly Joe Jones - drums (except tracks 3,5,7)
Recorded on December 15, 1958 at Reeves Sound Studios, NYC.

Ahmad Jamal / The Awakening

CD帯には「マイルス・デイビスに多大なインスピレーションを与えた、ジャズピアノのカリスマ」とある。マイルスがジャマルのピアノに惚れ込んだのは事実。だけど、カリスマという表現には疑問。そもそも、ジャズの世界で「カリスマ」なるレッテルはまず用いない。マイルス自叙伝①で、マイルスは「音楽に空間を息づかせるというアーマッド・ジャマルのコンセプト」と評し、次のように語っている。

「アーマッドがオレに大きな影響を与えたことは事実だ。だが、オレはアーマッドを聴くずっと前から、こんなフィーリングを好み、自分で演奏していたんだ、それを忘れないで欲しい。アーマッドは、オレがずっとやっていた音楽に、改めて目を向けさせてくれたんだ。まあオレを、オレ自身に連れ戻してくれたってわけだ」。アーマッドのピアノの特徴は「間」にあると評されることが多いが、それだけでは不十分な気がする。むしろ「語り」ではないだろうか。しかも、自分への「語り」ではなく、聴き手への「語り」。

1. The Awakening
2. I Love Music
3. Patterns
4. Dolphin Dance
5. You're My Everything
6. Stolen Moments
7. Wave

Ahmad Jamal - piano
Jamil Nasser - bass
Frank Gant - drums

Recorded on February 2 & 3, 1970 at Plaza Sound Studios, NYC.

Ahmad Jamal / But Not For Me

何の変哲もないピアノトリオ。ベースソロもドラムソロもない。4バースのやり取りも無い。リズムを倍速にするなどの工夫も一切ない。トリオのそれぞれが特筆すべきテクニックを持っている訳でもない。アーマッド・ジャマルのシングルトーンが随所に繰り返されるだけだ。だが、このライブで展開される音楽、ジャズは聴き手の心をいつの間にか掴んで離さない。

本アルバムを繰り返し聴いて、その理由がわかったような気がした。ジャマルは自分が納得いくプレイなどはどうでもよいのだ。リスナーがどれだけ心地よくなるかを意識してピアノを弾いている。例えば、インタープレイ。いわば、ミュージシャン同士の会話。ジャマルにはそれは無関係。そこで、「大衆ジャズの総本山」と位置付けたい。一番の聴きどころはPoinciana(ポインシアナ)。かなりシビレルのだ。

1. But Not For Me
2. The Surrey With The Fringe On Top
3. Moonlight In Vermont
4. (Put Another Nickel In) Music, Music, Music
5. No Greater Love
6. Poinciana
7. Woody'n You
8. What's New?

Ahmad Jamal - piano
Israel Crosby - bass
Vernel Fournier - drums

Recorded on January 16, 1958 at The Pershing Lounge of Chicago's Pershing Hotel.