Art Tatum / Solo Masterpieces

油井正一氏編集によるアート・テイタムのピアノソロ傑作集。1934年8月から40年7月までの5回の録音から、計16曲が収納されている。油井氏のライナーノーツ(1983年3月14日付け)には、テイタムのエピソードがいろいろと紹介されていて面白い。その中の一つ。

「テイタムはクラブにゆくとまずピアノの前にすわり、88の鍵盤をサーッと弾いて、狂っているキーを頭に入れてしまい、本番の時にはそれらのキーを使わなくすむキーに移調してすべての曲を弾いた、という話には驚くが、クラブに備え付けてあるピアノがおしなべてひどい調律であることを知っていると、この話は信用できる」。このアルバムを聴きながら、そんなエピソードを読むと妙に納得してしまうのだ。当然と書くと、油井氏には失礼なのだが、本作のCD化は全く望めない。

1. Emaline
2. The Shout
3. After You've Gone
4. The Sheik Of Araby
5. Stormy Weather (Keeps Rainin' All The Time)
6. Chlo-E
7. Tea For Two
8. Elegie
9. Sweet Lorraine
10. Get Happy
11. Lullaby Of The Leaves
12. Cocktails For Two
13. Tiger Rag
14. Humoresque
15. Indiana (Back Home Again In Indiana)
16. St. Louis Blues

Art Tatum - piano

Track 1
Recorded on August 22, 1934.

Tracks 2 & 3
Recorded on August 24, 1934.

Tracks 4 - 7
Recorded on November 29, 1937 in NYC.

Tracks 8 - 14
Recorded on February 22, 1940 in Los Angeles, CA.

Tracks 15 & 16
Recorded on July 26, 1940 in Los Angeles, CA.

Art Blakey / Free For All

1964年2月録音。時代はモードへの移行期を迎えていた。同月、マイルスはアルバムFour & Moreをライブ録音。そして、9月録音のMiles In Berlinからウェイン・ショーターが参加している。ファンキーが代名詞だったジャズ・メッセンジャーズも、モードを意識せざるを得なくなった。

結果的に、アート・ブレイキーが前面に出過ぎることはできず、フロント3管の厚みが際立っている。このアルバムのWikipediaによると、ショーター作のFree For Allの元のタイトルはFree Fall(自由落下)だったらしい。そして、フレディ・ハバードの作品The Coreは、CORE - Congress of Racial Equality(人種平等会議)を意味しているとのこと。ブレイキーではなく、メンバーが主張を始めたとも言える。

1. Free For All
2. Hammer Head
3. The Core
4. Pensativa

Wayne Shorter - tenor saxophone
Freddie Hubbard - trumpet
Curtis Fuller - trombone
Cedar Walton - piano
Reggie Workman - bass
Art Blakey - drums

Recorded on February 10, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Art Blakey / 3 Blind Mice

スタジオ録音である1961年10月の前々作Mosaic、11月の前作Buhaina's Delightに続き、62年3月のハリウッドでのライブ録音。この3つのアルバムはフロント3管による全く同じメンバーでありながら、重複する曲はMosaicと本作に収録されたウェイン・ショーター作Children Of The Nightだけである。つまり、位置づけとしては前2作のライブ盤になるが、単にスタジオをライブに持ち込んだ訳ではない。

前2作のレーベルはBlue Noteで、プロデューサーはアルフレッド・ライオン。本作では、レーベルがUnited Artists Recordsに変わっている。ライオンには、このメンバーでのライブ盤を作る構想はなかったのだ。それに反発したアート・ブレイキーが、メッセンジャーズにとって可能な限り新しい曲を準備してライブに臨んだと考えたい。そう想像すると、ジャケットのブレイキーの表情は怒りを表していると思えてくる。

1. Three Blind Mice
2. Blue Moon
3. That Old Feeling
4. Plexis
5. Up Jumped Spring
6. When Lights Are Low
7. Children Of The Night
8. Up Jumped Spring [alternate take]

Wayne Shorter - tenor saxophone
Freddie Hubbard - trumpet
Curtis Fuller - trombone
Cedar Walton - piano
Jymie Merritt - bass
Art Blakey - drums

Recorded on March 18, 1962 at The Renaissance, Hollywood, CA.