Art Ensemble Of Chicago / Fanfare For The Warriors

AEOCの音楽は、そのパフォーマンスは、ジャズという概念を超えたところにある。4ビートが基調にあるものの、リズムを根底にして音楽が形成されている訳ではない。時にはブルース的な要素や、R&B的なイメージが創出される。ましてや、フォーク的な雰囲気が出て来る時さえある。遊びなのか真面目なのか、それらの境目が明確には存在しない。聴き手をどんどん引き込むのでもなく、突き放すのでもない。

否定の否定的な音作り。どんな合図で曲想が変わっていくのかを捉えることも難しい。入念な音合わせをして作ったアルバムなのか、それとも一発勝負なのか。戦士への讃歌。このアルバムタイトルすら、何を意味しているのか分からない。何も分からないけど、AEOCを時に聴きたくなる。

シカゴで1965年に設立された非営利音楽団体AACM (Association for the Advancement of Creative Musicians)。設立時の代表者Muhal Richard Abrams(ムハール・リチャード・エイブラムズ)をピアニストして迎えたアルバム。

1. Illistrum
2. Barnyard Scuffel Shuffel
3. Nonaah
4. Fanfare For The Warriors
5. What's To Say
6. Tnoona
7. The Key

Lester Bowie - trumpet, percussion instruments
Malachi Favors Maghostut - bass, percussion instruments, vocals
Joseph Jarman - saxophones, clarinets, percussion instruments
Roscoe Mitchell - saxophones, clarinets, flute, percussion instruments
Don Moye - drums, percussion
Muhal Richard Abrams- piano

Recorded on September 6, 7 & 8, 1973 at Paragon Studios, Chicago.

Art Ensemble Of Chicago / People In Sorrow

アルバムの日本語タイトルは『苦悩の人々』。パート1が17分8秒、パート2が23分6秒。タイトル通り、40分余り重苦しい響きが続く。

ジャケットも極めてシンプルながら、黒人の女性が右手を頬に付けてうつむき加減の眼差し。まるでジグソーパズルの1つのピースが置かれているようにも見えてくる。AEOCのメンバーが伝えたかったのは、黒人問題、貧困問題…。このピースが置き去りにされてしまったと主張しているのか。1969年当時の社会と照らし合わせれば、何かの回答が得られるかも知れない。なお、本作はフランスの Pathé-Marconi(パテ・マルコニ)というマイナーレーベルに録音したもので、CD化されていない。

1. People In Sorrow - Part 1
2. People In Sorrow - Part 2

Lester Bowie - trumpet, percussion instruments
Malachi Favors Maghostut - bass, percussion instruments, vocals
Joseph Jarman - saxophones, clarinets, percussion instruments
Roscoe Mitchell - saxophones, clarinets, flute, percussion instruments

Recorded on July 7, 1969 in Boulogne, Paris.

Art Ensemble Of Chicago / Tutankhamun

青木和富氏の1984年12月付けライナーノーツを読んで、初めて気が付いた。このアルバムTutankhamunは、前作のファーストアルバムA Jackson In Your Houseの録音から3日後の1969年6月26日に録音。そして、次作となるPeople In Sorrowは同年7月7日。つまり、2週間余りで3枚のアルバムを録音したことになる。しかも、単なるセッションではなく、それぞれが明確なコンセプトを持っている。

ツタンカーメン、第9号室、そしてCDで追加されたTthinitthedalen: Part 1 & Part 2の4曲構成。Tthinitthedalenはロスコー・ミッチェルとマラカイ・フェイヴァースによる合作。造語だと思うが、何と発音するのだろう。第9号室とTthinitthedalenはツタンカーメンと何らかの関係がありそうだが、LPとCDの英文ライナーノーツには一切の記載がない。謎の『ツタンカーメン』である。

1. Tutankhamun
2. The Ninth Room
3. Tthinitthedalen: Part 1
4. Tthinitthedalen: Part 2

Lester Bowie - trumpet, percussion instruments
Malachi Favors Maghostut - bass, percussion instruments, vocals
Joseph Jarman - saxophones, clarinets, percussion instruments
Roscoe Mitchell - saxophones, clarinets, flute, percussion instruments

Recorded on June 26, 1969 in Paris.