Barney Kessel / On Fire

かなり怪しいジャケット。どう見ても二人の女性は丸裸。身に着けているのはハイヒールのみ。バーニー・ケッセルは中央でOn Fire状態。ライブ録音ながら、録音年月日が定かでない。これまた、そうとう怪しい。1965年の録音は間違いないのだろうが、55年経った今でも詳しいデータが出てきていない。

だが、演奏の中身は決して怪しくない。スイングジャーナルのゴールド・ディスクに選ばれたアルバムである。LPのライナーノーツには、児山紀芳氏が1982年5月付けで「67年11月にケッセルが来日したとき、このアルバムにサインをもらったが、レコーディングの様子を尋ねなったことを後悔している」と書いている。そして、ライナーノーツの最後に「本アルバムはオリジナル・マスターテープのクォリティ上音質面で問題がありますが何卒ご御了承下さい」とあり、録音機材にも問題があったようだ。演奏自体は名盤、それ以外は迷盤なのである。

1. Slow Burn
2. Just In Time
3. The Shadow Of Your Smile
4. Recado Bossa Nova (Gift Of Love)
5. Sweet Baby
6. Who Can I Turn To (When Nobody Needs Me)
7. One Mint Julep

Barney Kessel - guitar
Jerry Scheff - bass
Frankie Capp - drums

Recorded in 1965 at P.J.'s, Hollywood, CA.

Barney Kessel / The Poll Winners

バーニー・ケッセル、レイ・ブラウン、シェリー・マンの3人が、音楽雑誌の人気投票で首位を獲得したことから企画されたアルバム。ジャケットも「おめでとうございます」的な感じ。純粋?ジャズファンからは、勝手にすればと扱われていた気がする。Poll Winner(投票の勝者)に引っ掛けてPole(棒)を持っているので、お笑い芸人風でもある。まぁ、どちらも米国英語の発音記号はpóʊlだから、オヤジギャグの範疇だろう。

ただし、メンバーを見れば一目瞭然。二流の出来になる訳がない。「B級ご機嫌ジャズ」と位置付けたい。選曲もグッド。ラストにNagasakiを配置したことに注目。所有するアルバムでは、ズート・シムズがこの曲をアルバムEither Wayに収録している。

1. Jordu
2. Satin Doll
3. It Could Happen To You
4. Mean To Me
5. Don't Worry 'Bout Me
6. Green Dolphin Street
7. You Go To My Head
8. Minor Mood
9. Nagasaki

Barney Kessel - guitar
Ray Brown - bass
Shelly Mann - drums

Recorded on March 18 & 19, 1957 at Contemporary Records Studio, Los Angeles, CA.

Baby Face Willette / Stop And Listen

所有するベイビー・フェイス・ウィレットのアルバムは、この1枚だけ。オルガンジャズが性に合わない訳ではないが、彼のアルバムはこれで十分。そもそも、4枚しかリーダーアルバムを出していない。オルガン、ギター、ドラムというトリオ構成。ギターはグランド・グリーン。ここがポイント。ベン・ディクソンをドラムに迎えて、同じ構成でグリーン名義のGrant's First Standを4ヶ月前の1961年1月に録音している。どちらもブルーノート。ブルーノートとしては、グリーンを世に送り、次はウィレットという作戦だったのだろう。ならば、もう少しジャケットに予算を注ぎ込むべきだった。

ライナーノーツで原田和典氏が指摘しているように、6曲目のウィレット作Soul Walkはベニー・ゴルソン作でジャズ・メッセンジャーズの当り曲Blues Marchに酷似。ここまでそっくりさんを演じられては、逆に爽快な気分になってくるのではないか、と原田氏は述べている。そうかもしれないが、プロデューサーのAlfred Lion(アルフレッド・ライオン)が、なぜに許可したのかと不思議に思うのだ。メッセンジャーズはアルバムMoanin'でBlues Marchを1958年10月に録音していて、こちらもプロデューサーはライオンなのである。

1. Willow Weep For Me
2. Chances Are Few
3. Jumpin' Jupiter
4. Stop And Listen
5. At Last
6. Soul Walk
7. Work Song

Baby Face Willette - organ
Grant Green - guitar
Ben Dixon - drums

Recorded on May 22, 1961 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.