Cecil Taylor / Air Above Mountains

このアルバムをLPで聴いた時にこう書いた。「レコードになんとか収まる時間でソロは完結している。つまり、座る前か、座ってからかは別として、長くとも数十分で完結しようという構想は瞬時に組み立てているはずなのだ」この発言は撤回しなければならない。LPはPart 1が25分15秒、Part 2が25分34秒。それに対して、CDでは44分30秒と31分45秒。CD化でテイラーのソロピアノ全貌を明らかにした訳である。つまり、テイラーはアルバムにするためのソロ演奏は全く考えていない。

2曲で76分の演奏を改めて聴くと、リズムを感じない。テイラーの頭の中には、もしくは体にはリズムが刻まれていない。そんなソロに対峙することは極めて息苦しい。演奏が終わってようやく解放された気分になる。それこそが、セシル・テイラーのジャズとも言えるのだ。

1. Air Above Mountains (Buildings Within) part 1
2. Air Above Mountains (Buildings Within) part 2

Cecil Taylor - piano

Recorded on August 20, 1976 at the Moosham Castle in Langau, Austria.

Cecil Taylor / Silent Tongues

1974年7月2日。モントルー・ジャズ・フェスティバルでのセシル・テイラーによるピアノソロ。一時間近い圧倒的なパフォーマンス。一つの素材を縦横無尽に展開していく。テイラー自身は、展開させる数式が頭の中に入っていたのだろう、決して手癖では演奏していない。

聴衆は、突然変異のごとく展開していく音楽に圧倒され魅了される。テイラーの数式に追従できれば、さらに彼に一歩近づけるのだ。これを「テイラーの定理」という・・・かどうか別として、壮大という意味で極めて大雑把な多項式ピアノソロであることは間違いなし。

1. Abyss (First Movement) / Petals And Filaments (Second Movement) / Jitney (Third Movement)
2. Crossing (Fourth Movement) Part One
3. Crossing (Fourth Movement) Part Two
4. After All (Fifth Movement)
5. Jitney No.2
6. After All No.2

Cecil Taylor - piano

Recorded on July 2, 1974 at Montreux Jazz Festival, Switzerland.

Cecil Taylor / Solo

セシル・テイラーにとっては初のソロアルバム。しかも日本での録音。さすがのテイラーといえども緊張したのではないかと想像する。所有していたLPは国内盤ではあるものの、中古だったためかライナーノーツは付属していなかった。最近、CDを購入。原田和典氏がライナーノーツで録音に至ったエピソードを書いている。プロモーターの鯉沼利成氏がソロをテイラーに提案したが、「ソロほど難しいものはない」と拒絶。マッコイ・タイナーのソロアルバムEchoes Of A Friend(1972年11月録音)を聴かせたところ、テイラーは感激して「10時間練習をやらせてくれ」と猛練習を始めたそうだ。

テイラーの持っている創作力や技術力は十分に伝わってくるアルバム。だが、それを受けて聴き手が想像を膨らます余裕がない。千本ノックの嵐。テイラーは練習の成果を披露しようと常に鍵盤を叩き、聴き手はそのアタックを聴くことになる。空間に広がっていく「音」を聴く余裕はない。ということで、ソロピアノであるが、ソロ・打楽器のアルバムと位置付けたい。ちなみに、録音はイイノホールだが無観客。

1. Choral Of Voice (Elesion)
2. Lono
3. Asapk In Ame
4. Indent

Cecil Taylor - piano

Recorded on 29 May 1973 at Iino Hall, Tokyo, Japan.