Cecil Taylor / Garden

セシル・テイラーのピアノソロ・ライブ。全8曲で約90分の演奏なので、2時間ほどのコンサートだったと思われる。この2枚組LPを購入してから、テイラーのアルバム購入は途絶えた。その理由は、かなり期待して購入したにもかかわらず、ほとんど心揺さぶられなかったためである。ライブを体験していれば、また違ったのかも知れないが、1980年代初めのピアニストの自分の興味は、キース・ジャレットや山下洋輔にあった。そのキーワードは「進化」。残念ながら、テイラーのこのアルバムには「進化」を感じ取ることができなかったのだ。

ライナーノーツで、青木和富氏が次のように指摘している(1983年5月付け)。「この〈ガーデン〉の圧倒的な2枚組のソロ・プレイは、さしあたって現在のその闘士ぶりを伝える最も感動的な作品である。70年代初めから、セシルは幾度もこのソロ・プレイに挑戦している。しかし、その頃のプレイとこれを比較して聴けば判るが、この壮大な建築物はいままでにないミステリーがある」。青木氏が闘士テイラーに感動したのは理解できるのだが…。なお、本作はCD化されているが、なぜか2つのCDに分けられジャケットも変えてしまっている。これもミステリーなのだ。

1. Éléll
2. Garden II
3. Garden I
4. Stepping On Stars
5. Introduction To Z
6. Driver Says
7. Pemmican
8. Points

Cecil Taylor - piano

Recorded on November 16, 1981 at Basel Switzerland.

Cecil Taylor / Calling It The 8th

圧倒的。このアルバムを最初に聴いて浮かんだ言葉。そして、山下洋輔トリオを連想した。本作がライブ録音された1981年の頃、洋輔は、武田和命(ts)、国仲勝男(b)、小山彰太(d)というメンバーで活動していた。アルバムは『寿限無』。トリオでなくベースが入った構成。本作と同様である。

『寿限無』には明確なコンセプトがあり、その中でのフリーである。一方、このアルバムCalling It The 8thは暗号のようなタイトルで、コンセプトを伏せている。聴き手に何も連想させず、ただひたすらに耳を傾け、全身で聴けと言っているようだ。セシル・テイラーの恐ろしさを感じる。なお、CD化は望めそうにない。

1. Calling It The 8th - I
2. Calling It The 8th - II
3. Calling It The 9th

Jimmy Lyons - alto saxophone, vocals
Cecil Taylor - piano, vocals
William Parker - bass, vocals
Rashid Bakr - drums, vocals

Recorded on November 8, 1981 in Freiburg Germany.

Cecil Taylor / Fly! Fly! Fly! Fly! Fly!

ドイツのジャズ評論家ヨアヒム・E・ベーレントによるライナーノーツには、こう書かれている。「1980年9月12日、セシル・テイラーはニューヨークからドイツに到着後、車で3時間走りMPSスタジオに入った。そして5時間の練習。翌13日は9時間の練習。録音当日の14日は8時間の練習を終えて、本番に臨み3時間で完了」。ベーレントはpracticeと表現しているが、「イメージ作り」と捉えて良いと思う。つまり、計22時間かけて、イメージを作り上げたことになる。これは即興演奏なのだろうか。

ここでのテイラーのピアノソロは、攻撃的ではあるものの鋭い棘はない。かといって、ボディーブローの如く強力な圧力がある訳でもない。むしろ、蝶のように舞っている。捕まえようとしても捉えられない。待っていても来ない。追えば逃げられる。だからこそFly!なのだ。Fly!を5回も綴ったのは、練習22時間と本番3時間で、25時間の成果と言いたかったのだろう。

1. T (Beautiful Young'n)
2. Astar
3. Ensaslayi
4. I (Sister Young'n)
5. Corn In Sun + T (Moon)
6. The Stele Stolen And Broken Is Reclaimed
7. N + R (Love Is Friends)
8. Rocks Sub Amba

Cecil Taylor - piano

Recorded on September 14, 1980 at Villingen, Germany.