Don Cherry / El Corazón

ドン・チェリーとエド・ブラックウェルのデュオアルバム。しかしながら、二人が刺激し合いながらインタープレイを演じている訳ではない。共通のコンセプトを持って音楽を創り上げている。そのコンセプトとは、民族や国境を越えた「自然」である。ナチュラル・サウンドと書いてしまうと、とても軽い感じで、生活に根付いた音楽と言えばよいのだろうか。このアルバムを聴いていると、すーっと吸い込まれていき、気持ちが緩やかになる。

LPのライナーノーツでは、藤本雄三氏が最後にこう書いている。「ジャンルを問わず、一切の先入観を捨てて、己の姿を鏡に写すごとく、このサウンドに身をさらしてみればいいのだ。そこに投影された自己の姿をつぶさに見ればいいのだ」。対峙すべきジャズのアルバムは、それほど多くはない。そんな中で鼓動を感じて聴くアルバムの一つ。

1. Mutron / Bemsha Swing / Solidarity / Arabian Nightingale
2. Roland Alphonso
3. Makondi
4. Street Dancing
5. Short Stuff / El Corazón / Rhythm For Runner
6. Near-In
7. Voice Of The Silence

Don Cherry - pocket trumpet, piano, melodica, doussn' gouni, organ
Ed Blackwell - drums, wood drum, cowbell

Recorded in February 1982 at Tonstudio Bauer, Ludwigsburg, West Germany.

Don Cherry / Brown Rice

録音データは、正確に記されていないものの1975年に作られたアルバムであることは確か。コルトレーンが他界し、マイルスの吸引力がなくなってしまった時、ジャズそのものが彷徨を始めた。誰がイニシアチィブを取るのか。誰がトレーンの後継者となるのか。ドン・チェリーもその一人であったのかも知れない。このアルバムを改めて聴くと、その可能性を秘めていたことが分かる。「解放」とか「沸騰」という言葉が思いつくのだが、残念ながらそこまで。「変革」ないしは「改革」という言葉まではたどり着かない。

所有するチェリーのアルバムEternal Rhythm(68年11月録音)、mu(69年8月録音)、そしてこのBrown Riceを順番に聴くと、チェリーはそれまでのジャズの概念から飛び出してしまった気がする。Eternal Rhythmで滑走、muで離陸、Brown Riceで滑空。そもそも、チェリー自身がジャズを変えようという意識などまったくなかったのだ。

1. Brown Rice
2. Malkauns
3. Chenrezig
4. Degi-Degi

Don Cherry - trumpet, piano, electric piano, vocals
Frank Lowe - saxophone (tracks 1,3,4)
Ricky Cherry - piano, electric piano (tracks 1,3,4)
Charlie Haden - bass (tracks 1,2,4)
Hakim Jamil - bass (track 3)
Billy Higgins - drums
Bunchie Fox - bongos (track 1)
Moki - tambura (track 2)
Verna Gillis - vocals (track 1)

Tracks 1, 2 & 4
Recorded in 1975 at Basement Recording Studios, NYC.

Track 3
Recorded in 1975 at Grog Kill, Woodstock, New York.

Don Cherry / mu & orient

ドン・チェリーとエド・ブラックウェルのデュオアルバム。ライナーノーツで油井正一は、悠雅彦の著書『モダン・ジャズ群像』からドン・チェリーの個所を取り上げている。「ドン・チェリーはアルバムEternal Rhythmの頃からすでにジャズという概念をのりこえてしまった。ジャンルというものをのりこえてしまったのだ。彼が創造しようとしている音楽は、極めて民族的な色彩を濃厚に押しだしていながら、誰にでも語りかけるもの、つまり都市や国家を越え、特定の人種や民族を越えた地点に立つものである。それは普遍的な力強さと美しさをもつ地上の音楽であり、生命のリズムが躍動する音楽である」。

悠氏は的確にドン・チェリーの音楽を捉えている。このアルバムは、まさしく生命のリズム。チェリーとブラックウェルは、1982年2月に再びデュオアルバムEl Corazónに臨んだ。なお、LPからの買い直しで安価な中古CDを注文したら2枚組CDが送られてきた。Disc 2は1974年に2枚組LPとしてリリースされたOrientで、71年4月と8月のフランスでのライブである。

Disc 1
"mu" - first part
1. Brilliant Action
2. Amajelo
3. Total Vibration
4. Sun Of The East
5. Terrestrial Beings
"mu" - second part
6. The Mysticism Of My Sound
7. Medley: Dollar Brand / Spontaneous Composing / Exert, Man On The Moon
8. Bamboo Night
9. Teo-Teo-Can
10. Smiling Faces Going Places
11. Psycho-Drama
12. Medley: Theme Albert Heath / Theme Dollar Brand / Baby rest, Time for...

Don Cherry - pocket trumpet, piano, indian flute, bamboo flute, voice, bells, percussions
Ed Blackwell - drums, percussions
Recorded on August 22, 1969 at Studio Saravah, Paris.

Disc 2 - Orient
1. Orient
2. Si Ta Ra Ma
3. Eagle Eye
4. Togetherness

Tracks 1 & 2
Don Cherry - pocket trumpet, piano, flute, vocals
Han Bennink - drums, percussion, vocals, accordion
Moqui Cherry - tambura
Recorded on August 11, 1971 in Carpentras, France.

Tracks 3 & 4
Don Cherry - pocket trumpet, piano, flute, vocals
Johnny Dyani - bass
Okay Temiz - drums, percussion
Recorded on April 22, 1971 in Paris, France.