Paul Chambers / Whims Of Chambers

ジャケットの写真を見ながら、自分の学生時代を思い出す。自宅から中野駅までウッドベースに車輪を付けて、30分ほど歩いてよく運んだ。バスが混んでいない時間帯は乗せてもらったこともある。そして、中野駅から東小金井までは中央線。改札を出るときに、当時の国鉄の職員から荷物代を払ってくださいと言われ喧嘩した。中野で乗る時には何も言われなかったのに、何で降りるときに請求されるんだと。

このアルバムはポール・チェンバースが21歳の時。東小金井事件の自分は21歳。彼は「ブルーノート」でリーダー作を録音し、自分はホーセー大学コーガク部ジャズ研「ブルーノーツ」でマネージャーを務めた。単数と複数の違い。錚々たるメンバー。1923年生まれのフィリー・ジョー・ジョーンズを筆頭に、ジョン・コルトレーン(26年)、ホレス・シルバー(28年)、ケニー・バレル(31年)、ドナルド・バード(32年)そして、チェンバース(35年)。兄貴たちが、最年少チェンバースのリーダーアルバムに一肌脱いで盛り上げた。

1. Omicron
2. Whims Of Chambers
3. Nita
4. We Six
5. Dear Ann
6. Tale Of The Fingers
7. Just For The Love

John Coltrane - tenor saxophone
Donald Byrd - trumpet
Kenny Burrell - guitar
Horace Silver - piano
Paul Chambers - bass
Philly Joe Jones - drums

Recorded on September 21, 1956 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Paul Bley / Open, To Love

1983年10月に記された青木和富氏のライナーノーツ(LPとCDは同じ内容)。「このポール・ブレイのソロピアノの世界は、リリシズムの世界だが、ジャズピアノのリリシズムというと、何といってもひきあいにだされるのがビル・エバンスだ。けれど、うすいベールを通したような微妙な濃淡で語られるエバンスのリリシズムとは、このポール・ブレイのリリシズムの世界は基本的に違う。ブレイのそれは、あくまでもハードなタッチの一音一音で構成されるもので、その一音一音はもののかたちの表面をなぞるのではなく、表面をつき抜け、意識の内側に垂直にすべりおち、ある種の生理的な領域まで届く不思議なリリシズムの世界である」。

なるほど。そこまで聴き込んではこなかった。「意識の内側に垂直にすべりおち」という言葉が、まさしく肌に垂直に突き刺さる。聴きたいけど、聴く怖さがここにはある。

1. Closer
2. Ida Lupino
3. Started
4. Open, To Love
5. Harlem
6. Seven
7. Nothing Ever Was, Anyway

Paul Bley - piano

Recorded on September 11, 1972 at Arne Bendiksen Studio, Oslo.

Paul Bley / Touching

ポール・ブレイのピアノを言葉で表すのは非常に難しい。言葉が浮かんでこない。ピアノトリオである。それは単に楽器編成のこと。ベースが楽曲の流れを作り、ドラムがリズムを刻んで、ピアノが旋律を奏でるという典型的なトリオでは決してない。では、三位一体かと言うと、そういうフォーメーションも取っていない。

ドラムが激しいリズムを刻んでも、ポールはそれに乗ってこない。自分の感情のままピアノを弾いている感じを受ける。ならば、なぜトリオで演奏するのだろうか。たぶん、ポールは言うだろう。「一人じゃつまらないから」と。

1. Start
2. Touching
3. Pablo
4. Both
5. Mazatalan
6. Cartoon
7. Closer

Paul Bley - piano
Kent Carter - bass
Barry Altschul - drums

Recorded on November 5, 1965 in Copenhagen, Denmark.