Keith Jarrett / Fort Yawuh

キースが20代後半に描いたジャズがここにある。それを、ビレッジ・バンガードのライブで実現し、一つの終止符を打ったかのように思えた。なぜならば、このライブの翌月1973年3月にローザンヌ、7月にブルーメンで、あのソロ・コンサートに挑んだからである。だが、このライブから一年後に、ほぼ同じメンバーでアルバムTreasure Islandをスタジオ録音。

メンバー間のインタープレイで組み上げていくグループサウンド。あたかも天からの啓示のように降り注ぐ「音」を受け止めるようなソロパフォーマンス。この上下の振幅を、キースは演じようとしていった。その最初の振動となったアルバム。今回、輸入盤中古CDを購入。LPより1曲多く、そのRoads Travelled, Roads Veiledという曲は、なんと20分36秒。アルバム全5曲の中で最も長い。

1. (If The) Misfits (Wear It)
2. Fort Yawuh
3. De Drums
4. Still Life, Still Life
5. Roads Travelled, Roads Veiled

Keith Jarrett - piano, percussion, soprano saxophone (tracks 1 & 5)
Dewey Redman - tenor saxophone, percussion, Chinese musette (track 2), clarinet (track 5)
Charlie Haden - bass
Paul Motian - drums, percussion
Danny Johnson - percussion

Recorded on February 24, 1973 at The Village Vanguard.

Keith Jarrett / Hamburg '72

ECMの戦略というか、気まぐれはよく分からない。1972年6月のライブ演奏を2014年11月にリリース。なぜに42年間も倉庫にテープをしまって置いたのか。チャーリー・ヘイデンが2014年7月11日に他界したため、急遽リリースを決めたのだろうか。ちなみに、ポール・モチアンは2011年11月22日に他界。

そして、ピアノを離れ、サックス、フルートを吹き、パーカッションを叩くキースに観客はどう感じたのか。ジャケット内には、そんなキースの姿を捉えた写真が数枚掲載されている。キースは、ピアノ以外の楽器を使いこなすが、それをライブで行うのは珍しい。所有アルバムのデータを調べたところ、本作だけであった。最終曲はヘイデン作の「チェ・ゲバラに捧げる歌」。本作の中でも珠玉のでき。1969年4月録音のヘイデン名義のアルバムLiberation Music Orchestraに挿入されている。そんな曲をライブで演奏したにもかかわらず、ヘイデン存命中にリリースしなかったECMの罪は重い。

1. Rainbow
2. Everything That Lives Laments
3. Piece For Ornette
4. Take Me Back
5. Life, Dance
6. Song For Che

Keith Jarrett - piano, soprano saxophone, flute, percussion
Charlie Haden - double bass
Paul Motian - drums, percussion

Recorded on June 14, 1972 at NDR Jazz Workshop, Hamburg, West Germany.

Keith Jarrett / Expectations

ジャケットにはA Little Essay On "Expectations"と題したキースによるショートエッセイが掲載されている(1999年1月付け、単語数907)。まず、eclecticism(折衷主義)についての話題から始まる。キースは、折衷主義そのものは肯定していて、自分は折衷的と見なされているようだが、それは違うと否定している。全体を構成するために、部分的な要素があるだけだと述べている。そして、このアルバム全体が一つの作品であり、Disc 1最初のVisionから、Disc 2最後のThere Is A Roadまでが首尾一貫してつながっていて、全体が一つのステートメントであると結んでいる。

エッセイには、興味深いエピソードが盛り込まれている。『アルバム作りに入った時、コロンビアの担当者と話をした。彼らは私が何をしようとしているのか気にしていなかった。「どんなことをやっているんだ?」と尋ねられ「ピアノ弾いているのさ」と答え、それで問題なかった。だが、アルバムのリリースから2週間後にコロンビアとの契約は破棄になった』。『90年代初め、コロンビアはこのアルバムをCDでリリースしたが、曲順をシャッフルしてしまった。今回は自分が最初から関わり、再登場させることができ感謝している』。キースがコロンビアに残した唯一のアルバム。そして、キースの辛口エッセイを採用したコロンビア。

Disc 1
1. Vision
2. Common Mama
3. The Magician In You
4. Roussillon
5. Expectations
6. Take Me Back
7. The Circular Letter (For J.K.)

Disc 2
8. Nomads
9. Sundance
10. Bring Back The Time When (If)
11. There Is A Road (God's River)

Keith Jarrett - piano, organ, soprano saxophone, tambourine, percussion
Dewey Redman - tenor saxophone, percussion
Sam Brown - guitar
Charlie Haden - bass
Paul Motian - drums
Airto Moreira - percussion

Recorded in Apr 5 - 27, 1972 in NYC.