Keith Jarrett / Belonging

キースはソロ・コンサートを前年に終えて、次の名作Death And The Flowerへ向かう途中だった。で、「頑張って」ピアノを弾くキースがここにいる。CD帯から。「キースと北欧の気鋭の演奏家による通称ヨーロピアン・クァルテットはここから始まった。フォーク~ゴスペル色を強調した音作りが圧巻」。さらに、杉田宏樹氏がライナーノーツで以下のように書いている(2011年2月付け)。キースの声を評価する視点にニヤリとしてしまう。

全6曲はいずれもキースの優れた作曲の才能を示しており、とりわけ2曲にそれが顕著だ。オープニングを飾る「スパイラル・ダンス」は曲名通りよじれた旋律が特徴的で、ダニエルソンがベースソロで存在感を示す。そしてハイライトとなるのが5曲目の「ザ・ワインドアップ」。カリプソ調の明るいテーマの中にキースらしいメロディー・ラインが認められる。ピアノソロではキースの声をよく出ていて、北欧の素晴らしいミュージシャンを得た喜びが絶好調のピアノプレイと共に表出している。

1. Spiral Dance
2. Blossom
3. 'Long As You Know You're Living Yours
4. Belonging
5. The Windup
6. Solstice

Jan Garbarek - tenor saxophone, soprano saxophone
Keith Jarrett - piano
Palle Danielsson - bass
Jon Christensen - drums

Recorded on April 24 & 25, 1974 at Arne Bendiksen Studios, Oslo, Norway.

Keith Jarrett / Treasure Island

キースは、ソロ・コンサートで一つの頂点を極めた。圧倒的に他の追従を許さない金字塔であったと言える。その翌年にリリースしたアルバム。前作とは全く違ったコンセプト。リズム楽器を強調したグループサウンド。だが、明らかにキースサウンドである。ジャズではあるが、ときにはフォーク色があって、ブルース的なしばりが全くない。決して張りつめた緊張感ではなく、計算された音作りながら、計算外に賭けている音楽。『宝島』なので、宝を持ち帰られたかは聴き手に委ねているのだろう。ジャケット内には、キース作と思われる詩が掲載されている。概念的で難しいのだが訳してみた。未来を描こうというメッセージのような気がする。

Treasure Island / 宝島
The treasure has always been there / 宝物はいつもそこにある
It is not hidden / 隠されてはいない
But is only where certain people would look / だけど、限られた人にしか見つけられない
At all / 誰もではないんだ
Thus it remains a secret to the rest / だから、他の人には秘密のままだ
And to solace themselves / そして心をやわらげるため
They say it's hidden / 隠されているんだ
Or buried / 埋められているかもしれない
To still their invading thoughts / 侵略を抑えるためにも
―――
Some are calm and content / 穏やかに、それでいいという人もいる
Or at peace, in their words / それとも、心安らぎ、自分の言葉にして
Some are stirred and cloudy / 心動かされ憂鬱な人もいる
But they are improving their vision / だけど、彼らは未来を描いているんだ
―――
Of the island / 島の
Of themselves / 自分自身の

1. The Rich (And The Poor)
2. Blue Streak
3. Fullsuvollivus (Fools Of All Of Us)
4. Treasure Island
5. Introduction / Yaqui Indian Folk Song
6. Le Mistral
7. Angles (Without Edges)
8. Sister Fortune

Keith Jarrett - piano, soprano saxophone (track 7)
Dewey Redman - tenor saxophone, tambourine
Charlie Haden - bass
Paul Motian - drums, percussion
Danny Johnson - percussion
Sam Brown - guitar (tracks 4,8)
Guilherme Franco - percussion

Recorded on February 27 & 28, 1974 at Generation Sound Studios, NYC.

Keith Jarrett / Solo-Concerts

CDは輸入盤2枚組、LPは国内盤3枚組。LPは油井正一氏がライナーノーツを担当し、キース・ジャレット自身が寄せた解説の和訳を掲載している。以下は、その中からの抜粋。1945年5月8日生まれのキースであるから、28歳になった時点での自己分析である。

私は「芸術(Art)」を信奉しない男だ。その意味で私はアーティストではない。私は私が生まれる前に存在した音楽というものならある程度信じる。その意味で多分私自身はミュージシャンとはいえない。私は人生を信じない。しかしこの問題を本当に深く考ええた人なら同じ結論に達するであろう。私は自分で創造出来る男だとは思わない。しかし創造への道は目指しているつもりである。私は創造の神を信ずる。事実このアルバムは、私という媒体を通じて、創造の神から届けられたものである。なし得る限り、俗塵の介入を防ぎ、純粋度を保ったつもりである。こうした作業をした私は何とよばれるべきであろうか。創造の神が私を何と呼んでくださったか、私はおぼえていないのである。

Disc 1
1. Bremen, July 12, 1973 Part I
2. Bremen, July 12, 1973 Part II

Disc 2
1. Lausanne, March 20, 1973

Keith Jarrett - piano