Bud Powell / Inner Fires

CD帯から。「1年半ぶりに療養生活から復帰した“バップ・ピアノの父”バド・パウエルの、生気あふれるピアノ・タッチを味わうことのできる53年の録音。ワシントンD.C.の“クラブ・カヴァコス”でのライブで、パウエルはいつになく調子を上げており、イマジネイディブな魅力を充分に発散してみせる。音質こそベストではないものの、パウエル・ファンは必聴の1枚。ラストに収められているパウエルの肉声インタビューも、とても貴重である」。

パウエルの死後16年経った1982年に発掘されたプライベート音源。それにしても、ジャケットのイラストは異様である。M.Arismanとサインがあるので、Marshall Arisman(マーシャル・アリスマン October 14, 1938 - April 22, 2022)のこと。つい最近亡くなっている。このイラストと似たような彼のいくつかの作品をネットで見つけることができたので、本作のために描いた訳ではない。イラスト下には小さなフォントでPreviously unreleased live performances by the legendary genius of Modern Jazz Pianoとあるのだ。「モダンジャズピアノの伝説の天才」には似つかわしくないイラスト。

ところで、最後のトラックは、1963年1月と5月のパリでの5分近いインタビュー。冒頭からスキャットで歌い始めるパウエル。インタビュアーはフランス語なので内容は不明だが、何かの質問に対して、アル・ヘイグ、ハンク・ジョーンズ、セロニアス・モンク、マイルス・デイビス、マックス・ローチ、レイ・ブラウン、チャールズ・ミンガス、トシコ(秋吉敏子)などの名前をパウエルが答えている。

1. I Want To Be Happy
2. Somebody Loves Me
3. Nice Work If You Can Get It
4. Salt Peanuts
5. Conception
6. Lullabye Of Birdland
7. Little Willie Leaps
8. Hallelujah!
9. Lullabye Of Birdland [alternate master]
10. Sure Thing
11. Woody'n You
12. Bud Powell Interviews [Paris, France, January 15, and May 6, 1963]

Bud Powell - piano
Charles Mingus - bass
Roy Haynes - drums

Recorded on May 4, 1953 at "Club Kavakos", Washington, DC.

Joe Farrell / Outback

ジョー・ファレルが参加したチック・コリアのカモメ、つまりアルバムReturn To Foreverのちょうど3か月前、1971年11月4日の録音。本作とカモメの共通メンバーは、この2人以外にアイアート・モレイラ。従って、本作にはカモメ的雰囲気が漂うのだが、バスター・ウィリアムスのベース、エルビン・ジョーンズのドラムによって、カモメよりは重心が低い感じだ。カモメが助走に時間を掛け、水面から飛び立つイメージ。

カモメは、その名の通りジャケットが見事なアイコンとなった。本作も負けていない。ジャケットを見開いた時に強烈な印象を与える。インテリアとしても使える写真で、写真家Pete Turner(ピート・ターナー)の作品。彼のサイトでこの写真を見つけることができた(URLは以下に記載)。本来はもっと明るい仕上がりの写真だが、ジャケット用にインパクトを抑えたようだ。つまり、ジャケットも重心が低い。ちなみに、彼の写真はビル・エバンスのMontreux II、ウェス・モンゴメリーのRoad Songなどのアルバムで使われている。

https://www.peteturner.com/Africa/index.html

1. Outback
2. Sound Down
3. Bleeding Orchid
4. November 68th

Joe Farrell - tenor saxophone, soprano saxophone, flute, alto flute, piccolo
Chick Corea - electric piano
Buster Williams - bass
Elvin Jones - drums
Airto Moreira - percussion

Recorded on November 4, 1971 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Sonny Rollins / G-Man

1986年8月16日、ニューヨークにある彫刻公園Opus 40での野外ライブアルバム。タイトルは1曲目のG-Manを採用。邦題は「Gマン」ではなく、なぜか「Gメン」としている。というか、邦題になっていない。ロリンズ作のこのタイトルは一般的なGovernment Manのことだろうか。それともGreat Manかもしれない。だったら、ロリンズのサックスを形容して、邦題は「豪快野郎」で決まり!

まぁ、邦題はどうでも良いのだが、2曲目のKimにおいて、翌87年4月9日にスタジオでテナーサックスをオーバーダブしているのが気になる。ジャケット内の録音データには、しっかりと記載されているのだ。だが、ライナーノーツを担当した小川隆夫氏は、そのことには一切触れていない。ロリンズは何が不満だったのだろう。アルバム全体としては、ロリンズのブロウをたっぷりと堪能できるので、そんな小細工はして欲しくなかった。

1. G-Man
2. Kim
3. Don't Stop The Carnival
4. Tenor Madness

Sonny Rollins - tenor saxophone
Clifton Anderson - trombone
Mark Soskin - piano
Bob Cranshaw - electric bass
Marvin "Smitty" Smith - drums

Recorded on August 16, 1986 at "Opus 40" in Saugerties, New York.
Track 2: additional recording - tenor saxophone overdubs on April 9, 1987 at Manhattan Recording Studios, NYC.