ライナーノーツで児山紀芳氏は、このアルバムが録音に至った背景や、当時のフリージャズの状況を書いているが、演奏内容にはほとんど触れていない。そして、こう締めくくっている。「〈ジャズ・リアリティーズ〉は、いまではすっかりジャズ界の一角を占める大御所となったカーラやマイクたちの多感だった青春時代の汗の証といえよう」。
つまり、歴史的に価値あるアルバムだが、演奏内容は語るほどではないと暗に言っているのだ。残念ながら、同感である。自由になれない不自由さがここにあり、これが「現実=リアリティー」だとすれば、ジャズという枕詞を外して欲しかった。なお、一時期CD化されたものの、現在は廃盤状態。これも現実だ。
1. Doctor
2. Oni Puladi
3. J.S.
4. Walking Batterie Woman
5. Closer
6. Communications No.7
Michael Mantler - trumpet
Steve Lacy - soprano saxophone
Carla Bley - piano
Kent Carter - bass
Aldo Romano - drums
Recorded on January 11, 1966 in Baarn, Holland.