Carla Bley / Jazz Realities

ライナーノーツで児山紀芳氏は、このアルバムが録音に至った背景や、当時のフリージャズの状況を書いているが、演奏内容にはほとんど触れていない。そして、こう締めくくっている。「〈ジャズ・リアリティーズ〉は、いまではすっかりジャズ界の一角を占める大御所となったカーラやマイクたちの多感だった青春時代の汗の証といえよう」。

つまり、歴史的に価値あるアルバムだが、演奏内容は語るほどではないと暗に言っているのだ。残念ながら、同感である。自由になれない不自由さがここにあり、これが「現実=リアリティー」だとすれば、ジャズという枕詞を外して欲しかった。なお、一時期CD化されたものの、現在は廃盤状態。これも現実だ。

1. Doctor
2. Oni Puladi
3. J.S.
4. Walking Batterie Woman
5. Closer
6. Communications No.7

Michael Mantler - trumpet
Steve Lacy - soprano saxophone
Carla Bley - piano
Kent Carter - bass
Aldo Romano - drums

Recorded on January 11, 1966 in Baarn, Holland.

Carla Bley / Live!

邦題は『艶奏会』。演奏内容をうまく表現していて、ジャケットも決まっている。カーラ・ブレイは、フリージャズの女性戦士のイメージが強く、かつては1枚のアルバムしか所有していなかった。しかし、新品中古のこのアルバムをネット上で見つけて購入。大型コンボのはじける感じが、パワフルに伝わってくる。以下は、市川正二氏のAmazonレビューからの抜粋。「精神は100%フリー」には全くの同感である。

「カーラ・ブレイはジャズ界きっての才女であり女傑。ピアニストとしてよりも、むしろコンポーザー、アレンジャー、オーガナイザーとしての活躍が目ざましい。1960年代のカーラはフリージャズ・シーンに咲いた一輪の花といった感じだったが、その後1970年代になるとリチャード・ティーやスティーヴ・ガッドといったStuffのメンバーを加えて録音を行なうなど、新たな展開を開始した。〈中略〉ここではホーン6本を含む大型コンボを率い、聴きやすく、中身の濃い音楽をクリエイトしている。これがフリージャズの範疇に入るかどうかは定かではないが、その精神は100パーセント、フリーである」。

1. Blunt Object
2. The Lord Is Listenin' To Ya, Hallelujah!
3. Time And Us
4. Still In The Room
5. Real Life Hits
6. Song Sung Long

Carla Bley - organ, piano, glockenspiel
Michael Mantler - trumpet
Steve Slagle - alto saxophone, soprano saxophone, flute
Gary Valente - trombone
Steve Swallow - bass
Arturo O'Farrill - organ, piano
D. Shape - drums
Tony Dagradi - tenor saxophone
Vincent Chancey - fluegelhorn
Earl McIntyre - tuba, bass trombone

Recorded on August 19, 20 & 21, 1981 at The Great American Music Hall, San Francisco, CA.