Horace Silver / Song For My Father

ジャケットをよく見ると、タイトルの下に括弧書きでCANTIGA PARA MEU PAIとある。これはポルトガル語で、「私の父のための歌」の意味。では何故にポルトガル語表記を入れたのか。レナード・フェザーの英文ライナーノーツには、次の一文がある。"My mother was of Irish and Negro descent, my father of Portuguese origin"(母はアイルランドとニグロの血を引き、父はポルトガル系)。まさしく、ホレス・シルバーが父親に捧げたアルバムなのだ。

さらに、ジャケットにはTHE HORACE SILVER QUINTETの表記があるが、正確には「2つのグループによる」と追記すべき。シルバーのアルバムは12枚所有。その中で、参加メンバーが異なるセッションで構成されているのは本作のみ。1963年10月と64年1月のセッションを終え、アルバム作りは中断。新メンバーによる64年10月のセッションで本作は完成。父親へのアルバムは難産だった。

ところで、6曲目Lonely Womanはシルバー自身の作品で、これは母親の苦労を描いたのかも知れない。オーネット・コールマンがアルバムThe Shape Of Jazz To Come(59年5月録音)に収録した同名曲とは異なる。ちなみ、パット・メセニーのアルバムRejoicing(83年11月)では、シルバーのLonely Womanを収録。以上の背景を知って本作を聴くと、シルバーはなおさら掛け値なしでカッコイイ。ジャズをある意味で「芸能」にした男である。

1. Song For My Father
2. The Natives Are Restless Tonight
3. Calcutta Cutie
4. Que Pasa
5. The Kicker
6. Lonely Woman
7. Sanctimonious Sam
8. Que Pasa
9. Sighin' And Cryin'
10. Silver Treads Among My Soul

Tracks 1, 2, 4 & 5
Joe Henderson - tenor saxophone
Carmell Jones - trumpet
Horace Silver - piano
Teddy Smith - bass
Roger Humphries - drums

Tracks 3, 6 - 10
Junior Cook - tenor saxophone
Blue Mitchell - trumpet
Horace Silver - piano
Gene Taylor - bass
Roy Brooks - drums

Tracks 1, 2, 4 & 5
Recorded on October 26, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Tracks 3, 6, 7 & 8
Recorded on October 31, 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Tracks 9 & 10
Recorded on January 28, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

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